ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

あ行の作家

恩田陸「月曜日は水玉の犬」(筑摩書房)

土曜日、日曜日に続けて、曜日タイトルエッセイ第三弾。一応これで打ち止めらしい ですが、あと曜日は4つありますからね~。エッセイ的なものがたまったら、また 続きが出るかもしれませんね。 鮮明な夢のお話や、映画のお話なども入っていますが、概ね書評…

乙一「一ノ瀬ユウナが浮いている」(集英社)

乙一さん最新作。久しぶりにオリジナルの乙一作品だ!と嬉々として読んでいたの ですが、後で調べたら、映画『サマーゴースト』の姉妹編という位置づけの作品 らしいです。『サマーゴースト』は映画も原作も知らない為、どこがどう姉妹編 なのか全然わからな…

大山誠一郎「記憶の中の誘拐 赤い博物館」(文春文庫)

『赤い博物館』シリーズ第二弾。とても好きな作品だったので、続編が出て 嬉しい。少し前にアンソロジーで一作読んでいたので、もしかして二作目出る かも?とは期待してたんですけどね。 未解決の犯罪事件の遺留品や書類を収蔵する警視庁の犯罪資料館、通称…

池井戸潤「民王 シベリアの陰謀」(角川書店)

ドラマ化もされた『民王』の続編。一作目読んだのがかなり前で、ドラマも ほとんど観てなかったから、内容すっかり忘れちゃってました。確か、首相と 息子の中身が入れ替わったんだったよな~ってくらいしか覚えてなかった^^; まぁ、それでも特に問題はな…

伊坂幸太郎「ペッパーズ・ゴースト」(朝日新聞出版)

伊坂さん最新作。予約に乗り遅れてしまったので、大分待たされました。なかなか 共感しずらい作品だったかなぁ、というのが正直な感想。飛沫感染によって、 相手の未来を『先行上映』して見ることが出来る特殊能力を持つ国語教師の檀は、 教え子が書いたとい…

一穂ミチ「パラソルでパラシュート」(講談社)

『スモールワールズ』で人気を博した一穂さんの新刊。大手企業の受付嬢として 働く29歳の契約社員、美雨。契約社員として働けるのも、あと1年。恋人も おらず、将来も見えず、冴えない日常を淡々と過ごしていたある日、同僚から 譲られて何気なく訪れたコ…

恩田陸「愚かな薔薇」(徳間書店)

恩田さん最新長編。600ページ近い作品なので、さすがに読むのに時間が かかりました。とはいえ、リーダビリティは抜群なので、先へ先へとページが 進んで行ったのは間違いのないところでしたが。恩田版ダークファンタジー という感じでしょうか。現代版の…

今野敏「探花 隠蔽捜査9」(新潮社)

待望のシリーズ最新巻。今回も面白くて、あっという間に読み終わってしまった。 これの前に読んでいた有栖川さんの作品が、情景描写が多くて、結構読むのに時間 かかったので、余計に読みやすく感じたのかも。事件もスピーディに進むし、 竜崎はぐだぐだ余計…

有栖川有栖「捜査線上の夕映え」(文藝春秋)

火村シリーズ最新長編。このシリーズは、個人的には短編の方が好きなのですけれど。 今回の事件の性質自体も、短編でも成立しそうなものでしたし。もっとシンプルに短く 書こうと思えば、いくらでも出来た作品だと思いました。ただ、これを長編で 書いたこと…

太田忠司「鬼哭洞事件」(東京創元社)

ほんっとうに久しぶりの狩野俊介君シリーズ。このシリーズは、初期作品の数作 しか実は読んでいなくて、自分でもどれを読んでいるのか全く覚えていなかったり します。でも、久しぶりに俊介君の新作が出たということを図書館新作情報で 知り、懐かしくなって…

秋川滝美「ひとり旅日和 運開き!」(角川書店)

シリーズ第三弾。前作でコロナ禍になり、今後日和のひとり旅はどうなってしまう のかなぁと心配していましたが、案の定、今回もその暗い影の影響は出ています。 ただ、緊急事態宣言は解除されている時期の話で、できる限りの感染対策を取って、 旅する様子が…

顎木あくみ「わたしの幸せな結婚 二」(富士見L文庫)

シリーズ第二巻。一巻読んだ時すぐに予約したのですが、蔵書一冊らしく、 かなり待たされました。前作の内容忘れかけちゃってるけど、まぁ、なんとなく 覚えてるからいいかって感じで読みました(おい)。 今回は、婚約者である清霞を助ける為、美世の能力が…

青山美智子「赤と青とエスキース」(PHP研究所)

青山さん話題の最新作。オーストラリアのメルボルンに留学した日本人女性が、 そこで出会った青年から、友人の画家の絵のモデルになってほしいと頼まれる ところから物語が始まります。そこで青年の友人が描いたのは、絵を描く前の下絵、 いわゆる、エスキー…

青山美智子「月曜日の抹茶カフェ」(宝島社)

『木曜日にはココアを』の姉妹編みたいな作品。微妙に登場人物もリンクしています。 前の作品に登場した脇役が、次の作品では主役として登場する、リレー小説形式が 今回も採用されており、少しづつ物語とキャラクターはリンクして行きます。誰 かにとっての…

恩田陸「灰の劇場」(河出書房新社)

今年の初めの方に出た新刊ですが、実は一度予約してもう少しで回って来るぞという 時に、間違って予約取り消しをしてしまい、改めて予約し直した経緯があるため、 随分回って来るのに時間がかかってしまいました。本屋大賞やら直木賞やら獲って からは新刊の…

大倉崇裕「ゾウに魅かれた容疑者 警視庁いきもの係」(講談社)

シリーズ第6弾。シリーズ二作目の長編です。今回の生き物はゾウ。須藤さんに いつも美味しいお茶を淹れてくれる同僚の弘子さんが、休暇中に何者かに攫われて しまい、須藤さんと薄ちゃんが捜査に乗り出し、その果にはラオスに飛ぶ羽目に なるというお話。 …

大崎梢「バスクル新宿」(講談社)

新宿駅に出来た新しいバスターミナル、『バスクル新宿』を舞台に繰り広げ られる人間模様を描いた連作短編集。それぞれにいろんな事情を抱えて『バスクル 新宿』を訪れる人々の悲喜こもごもを鮮やかに描いていて、面白かったです。 モデルとなった『バスタ新…

有川ひろ「みとりねこ」(講談社)

有川さん最新刊。猫好きさん(有川さん)による、猫好きさんの為の短編集、 という感じ。猫が出てくる作品ばかり七篇が収録されています。うち二篇が 『旅猫リポート』外伝、うち一篇が『アンマーとぼくら』外伝。両作品のファンは必読 じゃないでしょうかね…

青木祐子「レンタルフレンド」(集英社)

『これは経費で落ちません!』が評判の良い青木さんの新作。本当は『これは経費~』 の方が読みたいのだけど、そちらは人気が高くてなかなか借りられないので、 まずは新作のこちらに手を出してみました。 タイトル通り、レンタルフレンドを職業にしている主…

碧野圭「菜の花食堂のささやかな事件簿<4> 裏切りのジャム」(だいわ文庫)

シリーズ第四弾。今回も、食に関する様々な謎を前にして、菜の花食堂の靖子先生の 鋭い推理が冴え渡ります。ほのぼのした靖子先生ですが、今回菜の花食堂を貶める ことをした人物に対して、かなりの怒りを持って立ち向かいます。靖子先生の意外 な一面が伺え…

伊岡瞬「仮面」(角川書店)

テレビで活躍する作家で人気評論家の三条公彦。読字障害を持ちながら、アメリカ 留学後にその経験を本にし、じわじわと人気が広がり、そのルックスも相まって、 最近は幅広い層に人気を博していた。三条の秘書として雇われた菊井早紀は、謎 めいた三条の過去…

相沢沙呼「invert 城塚翡翠倒叙集」(講談社)

城塚翡翠シリーズとでも呼べば良いのでしょうか。シリーズ二作目です。前作の 衝撃から、一体どんな作品になるのかな、と思ってましたが、こちらもなかなかの 良作でした。中編が三作入ってまして、すべてが倒叙ミステリとなっております。 倒叙ミステリらし…

今村昌弘「兇人邸の殺人」(東京創元社)

シリーズ第三弾。神紅大学ミステリ愛好会の二人、葉村譲と剣崎比留子は、斑目 機関の研究材料を集める製薬関連企業・成島グループの子会社社長・成島陶次 から依頼を受けて、生ける廃墟と呼ばれる廃墟テーマパーク『馬越ドリームシティ』 に赴くことに。園内…

秋川滝美「ヒソップ亭2 湯けむり食事処」(講談社)

素泊まり温泉旅館の中の食事処『ヒソップ亭』を舞台にしたシリーズ第二弾。 せっかく前作で、章一人が切り盛りしていたヒソップ亭に、安曇という働き者の 料理人が加わったというのに、世間の自粛ムードの波はヒソップ亭にも 押し寄せて来ることに。そのうえ…

芦沢央「神の悪手」(新潮社)

最近注目されている芦沢さんの新作。将棋の世界が舞台。それだけに、専門用語が ばんばん出て来て、将棋に疎い私には何が何やらさっぱりな部分も多かった。 将棋について詳しい人ならもっと楽しめるのでしょうが・・・。特に、将棋の 対局のシーンはほとんど…

恩田陸「薔薇のなかの蛇」(講談社)

実に17年ぶりの理瀬シリーズ。この日をどれだけ待っていたことか・・・!!! もう、もう、読んでいる間中興奮しっぱなし。私が一番読みたかった恩田さん らしいゴシックミステリの王道をそのまんま行くような内容。そう、私が求める 恩田陸はこれなのよ!…

青山美智子「猫のお告げは樹の下で」(宝島社文庫)

最近お気に入りの青山さん。とても気に入った『お探し物は図書室まで』に出て来る 小町さんが出て来ると聴いて読んでみたいと思っていた作品。確かに小町さんらしき 人は出て来ましたが、図書室に勤める前の前職での登場でした。『お探し物~』の 中でも、前…

大崎梢「めぐりんと私。」(東京創元社)

本バスめぐりんシリーズ(と勝手に命名しているけれど、正しいシリーズ名は謎) 第二弾。地方の種川市をめぐる移動図書館『めぐりん』号は、バスの運転手テルさん と司書のウメちゃんと三千冊の本を載せて各地をめぐります。彼らの元には、 本にまつわる様々…

青山美智子「鎌倉うずまき案内所」(宝島社)

奇しくも青山さん二連チャンとなりました。たまたま回って来たタイミングが 重なったってだけなんですけどもね。 鎌倉を舞台に繰り広げられるファンタジっくな作品。面白いのは、一作ごとに 時代が過去に遡って行く点。登場人物もかなり緻密にリンクしている…

青山美智子「木曜日にはココアを」(宝島社)

最近お気に入りの青山さん。本書は度々新聞で取り上げられていて、話題になって いた作品で、気になってました。前の作品で脇役だった登場人物が次の作品の 主役になるという、主役のリレー形式で綴られる連作短編集。最後の一作が冒頭の 一作に繋がるという…