ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

な行の作家

成田名璃子「東京すみっこごはん レシピノートは永遠に」(光文社文庫)

大好きな東京すみっこごはんシリーズ、最新巻にして最終巻。これで終わりかと 思うと、とてもさみしい。そして、最終巻は、最終巻らしい一冊としか言いようが ないお話でした。街の共同台所、すみっこごはんを作った人物の娘としてヒロイン を勤めて来た高校…

貫井徳郎「悪の芽」(角川書店)

貫井さんの最新長編。銀行員の安達は、仕事もプライベートも順風満帆の生活を 送っていた。しかし、ある日、世間を震撼とさせた無差別殺傷事件の犯人が、 小学生の頃自分の発言がきっかけで、いじめに遭った同級生の斉木だという事実に 気づく。一部の報道で…

野村美月「むすぶと本。七冊の『神曲』が断罪する七人のダンテ」(KADOKAWA)

去年読んだ『むすぶと本。』シリーズ(正確なシリーズ名はわからないですが^^;)、最新巻。前作(その前に文庫があるみたいだけど、そちらは未読のまま) がとても良かったので、続編嬉しいです。 ただ、読み始めて戸惑ったのは、この作品の舞台が中学校…

長岡弘樹「幕間のモノローグ」(PHP研究所)

長岡さん最新刊。ベテラン俳優南雲草介を軸に、南雲が講師を勤める俳優養成所 の生徒たちが直面する事件やトラブルを描いた連作ミステリー。一作ごとに 主役が切り替わり、映画やドラマの撮影に纏わる様々な出来事が綴られて行きます。 南雲自身の身に降り掛…

野村美月「月と私と甘い寓話 ストーリーテラーのいる洋菓子店」(ポプラ社)

野村さん新作。タイトルも表紙も内容も、ラノベで出しても差し支えないような 内容ではありましたが、こうして図書館入荷してくれるのだから、単行本で 出してもらえるのはとてもありがたい。 仕事にも恋愛にも疲れ果てた三十三歳の七子は、ある日、以前立ち…

西澤保彦「偶然にして最悪の邂逅」(東京創元社)

西澤さん新刊。最近結構刊行ペースが早いような。なんだかんだでコンスタントに 新刊が出てますよね、西澤さんって。最近は過去に起きた事件を、何十年も後に なって回想しつつ、当時解明されなかった謎を解く、という形式の作品ばかりの ような気がします。…

夏川草介「始まりの木」(小学館)

『神様のカルテ』の夏川さん最新作。今回は、日本全国各地にフィールドワークに 行く民俗学者とその助手の物語。現代版遠野物語って感じですかね。民俗学者が 活躍する作品といえば、なんといっても、私の中では北森鴻さんの蓮丈那智シリーズ。 あのシリーズ…

西澤保彦「夢魔の牢獄」(講談社)

西澤さん最新作。主人公田附悠成は、夢の中で、過去の他人に憑依できる特殊能力を 持つ。自分の意志で誰に憑依するかは選べないものの、その力を使って、22年前に 起きた未解決の殺人事件の謎を解き明かして行く――という、ちょっと変わった SFミステリ。ミ…

似鳥鶏「生まれつきの花 警視庁花人犯罪対策班」(河出書房新社)

似鳥さん最新刊。ラノベみたいな表紙にちょっと引きつつ読み始めました(苦笑)。 生まれつきすべての能力が優秀な『花人』という人種がいる世界のお話。花人は 常人には聞こえない『超話(超音波会話)』で会話することが出来、体臭は百合の 香りがする。す…

野村美月「むすぶと本。『さいごの本やさん』の長い長い終わり」(KADOKAWA)

文学少女シリーズを放置したまま、もう何年経ちましたでしょうか・・・。一時期 めちゃくちゃハマって、古本屋でシリーズを買い集めていたのだけれど、思う ように手に入らないので、そのままになってしまった。買ったシリーズも、途中 までしか読めてないし…

七月隆文「ケーキ王子の名推理5」(新潮文庫nex)

シリーズ第五弾。前作の最後でようやく想いが通じ合った二人。付き合い始めの 二人のその後が描かれます。 せっかく両想いになった割に、全然ラブラブな雰囲気がないのでちょっと拍子抜け。 まぁ、相手が無愛想でスイーツバカの颯人だから仕方がない。一応カ…

似鳥鶏「難事件カフェ2 焙煎推理」(光文社文庫)

以前に読んだ『パティシエの秘密推理』の続編。あれから、もう7年が経っている らしい。そして、7年経って続編が出ることになり、タイトルを変更し、1巻も 新装丁になって発売された模様。なんか、雰囲気全然違ってる^^;前は もっと甘い感じの表紙じゃ…

長岡弘樹「つながりません スクリプター事件File」(角川春樹事務所)

長岡さん最新作。今までの作品とはまた全然違ったテーマで来ましたねー。映画制作 現場で記録係(スクリプター)として働く真野韻(まのひびき)が活躍する 連作短編集。スクリプターという職業、恥ずかしながら初めて知りました。映画 監督の片腕的な役割を…

長岡弘樹「緋色の残響」(双葉社)

長岡さん新刊。『傍聞き』に出て来た女刑事・羽角啓子とその娘・菜月が活躍する 連作短編集。シリーズとしては三作目(『傍聞き』はノンシリーズの短編集に 収録されていましたが)に当たりますかね。『傍聞き』では小学生だった菜月ちゃん も、今作では中学…

法月綸太郎「赤い部屋異聞」(KADOKAWA)

いろいろな作品のオマージュ作品ばかりを集めた短編集。9作収録されています。 原典を読んでいる作品が多分一作もなかった為、オマージュと言われても、 いまいちピンと来なかったのが悲しいのですが・・・まぁ、元ネタを知らなくても 全然問題なく読める話…

永嶋恵美「泥棒猫リターンズ 泥棒猫ヒナコの事件簿」(徳間文庫)

なんか、タイトルに覚えがあったので、てっきり読んでいるシリーズかと思って 借りたんですけど、未読だったみたいです・・・またも三作目から読むという 愚行を犯してしまった・・・。あちゃー。しかも、一作目から8年も経っている 設定らしい上、一話目の…

西澤保彦「逢魔が刻 腕貫探偵リブート」(実業之日本社)

久しぶりの腕貫探偵シリーズ。リブートってついてるけど、どういう意味が あるのかな、と調べてみると、パソコン用語で再起動って意味だそう。 コンセプトや解釈を変えて作品を作るって意味があるらしい。ってことは、最初の シリーズとは微妙に設定が変わっ…

似鳥鶏「七丁目まで空が象色」(文春文庫)

動物園シリーズ第五弾。今回は、至ってシンプルな内容。マレーバク舎新設に 当たって、飼育方法等を学ぶために山西市動物園にやって来た、桃本たち お馴染みの楓ケ丘動物園メンバーたち。研修を受けていると、桃本にとって 意外な人物が目の前に現れた。動物…

西澤保彦「沈黙の目撃者」(徳間書店)

死者の骨を材料にして作ったカップに特定の液体を注ぐと、その死者の魂がカップ に宿り、液体が入っている間だけ話が出来るようになる――殺人を目撃した筈 の死者は何を語るのか?かなり特殊な設定の異色ミステリー集。 奇抜な設定ですが、きっちり本格テイス…

長岡弘樹「風間教場」(小学館)

教場シリーズ最新刊。お正月にドラマ放映したばかりだから、タイムリーに 出版されましたよね。正直、ドラマ化のニュースで風間がキムタクって聞いた 時は、『全然合ってないよ~~~勘弁して!』って思ったんですけど、実際 観てみたら、意外とハマっていて…

夏川草介「勿忘草の咲く町で~安曇野診療記~」(角川書店)

夏川さんの新シリーズ(多分)。ただ、今回も長野県の病院を舞台にした医療もの というところは共通しています。『神様のカルテ』シリーズとのリンクもあって、 あちらのシリーズのファンには受け入れやすいのではないかな。今回は看護師の 月岡美琴と、彼女…

成田名璃子「今日は心のおそうじ日和 素直じゃない小説家と自信がない私」(メディアワークス文庫)

『金曜日の本屋さん』シリーズが気に入った成田さんの最新作(多分)。夫の 浮気で突然離婚を突きつけられた涼子は、茫然自失のまま一人娘を連れて実家に 出戻る羽目に。両親は表面上は温かく迎えてくれているが、同居している兄嫁に 気兼ねしているのは丸わ…

似鳥鶏「目を見て話せない」(角川書店)

似鳥さん最新作。似鳥さんは、いろんなタイプの探偵役を生み出してますが、 今回の探偵役は、また今までにない斬新なタイプで、新鮮でした。というのも、 今回の主人公である藤村京は、他人の目を見て話が出来ない、いわゆるコミュ障。 晴れて国立の房総大学…

法月綸太郎「法月綸太郎の消息」(講談社)

久しぶりののりりんシリーズ。予約本が重なって借りたはいいものの、読めるか 微妙なところだったんだけど、やっぱりこのシリーズは抑えておきたいので、 他の本を一冊諦めました(伊岡さんだった・・・)。 今回は四作収録されています。 ホームズとポアロ…

貫井徳郎「罪と祈り」(実業之日本社)

貫井さんの最新長編。誰からも慕われていた元警察官の濱仲辰司が隅田川の橋脚で 死体となって発見された。当初は事故と思われたが、遺体の頭部には殴られた痕が あり、殺人事件の可能性が高いと見做された。息子である濵仲亮輔は、真面目で実直な 父親が誰か…

中島京子「夢見る帝国図書館」(文藝春秋)

はじめましての作家さん。直木賞を獲られた『小さいおうち』は気になりつつも、 未読。図書館新着案内でタイトルと内容紹介を見て、図書館ヘビーユーザーとして 見逃せないお話っぽいなぁと思って予約してみました。 明治に出来た日本初の国立図書館であり、…

東野圭吾「希望の糸」/長岡弘樹「119」

どうもこんばんは。ヤフーブログ終了までついに一か月を切りましたね。私も、 こちらでブログ更新するのはあとわずかになりそうです。未練たらたらで、こっちで しつこく更新してたんですけどね。ブログ移行報告をされる方も大分多くなりましたね。 とりあえ…

名取佐和子「寄席わらしの晩ごはん」/秋川滝美「マチのお気楽料理教室」

こんばんは。あっついですねぇ。なんか急に真夏の暑さになったから、身体が ついていかない感じ。夏ってこんなに暑かったんだっけ・・・。 今年は夜になっても気温が下がらないから、寝ている間もエアコンつけっぱなし。 今月の電気代ヤバそうだなぁ・・・^…

梨木香歩/「椿宿の辺りに」/朝日新聞出版刊

梨木香歩さんの「椿宿の辺りに」。 皮膚科学研究員の佐田山幸彦は三十肩と鬱で、従妹の海子は階段から落ち、ともに痛みで難儀 している。 なぜ自分たちだけこんな目に遭うのか。 外祖母・早百合の夢枕に立った祖父から、「稲荷に油揚げを……」の伝言を託され…

鈴木るりか「さよなら田中さん」/似鳥鶏「育休刑事」

こんばんはー。台風襲来でどうなることかと思いましたが、東京はさほどの雨も 降らず、さらっと行ってしまってちょっと拍子抜けでした。今日仕事だったんで どうしたもんかと戦々恐々としていたのですけどね。 まぁ、取り越し苦労で良かったです。雨で出勤は…