ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

道尾秀介「きこえる」(講談社)

我らがミッチー、またも新たな試みの作品を書き上げてくださいました。写真や絵 でオチがわかるものをいくつか書かれた作者ですが、今回は「聴くこと」で物語 のからくりやオチがわかるという、今までになかった切り口で攻めて来られました。 大部分の人が、…

須藤古都離「ゴリラ裁判の日」(講談社)

第64回メフィスト賞受賞作。久しぶりのメフィスト賞。最近はノベルスではなく 単行本で出ているんですかね?私の中では、メフィスト賞=講談社ノベルスって イメージなので、読んでいてメフィスト賞って感じが全然しなかったのですけども。 ブログ友達のゆ…

2023年 マイベスト

みなさま、こんばんは。松の内も過ぎて、すっかりお正月気分も抜けましたね。 二日に上げた、新年のご挨拶記事は随分暗いものになってしまい、申し訳ありません でした。 直接被害に遭った訳でもないのに、みなさん、とても優しいコメントをくださって、 あ…

2024年 新年のご挨拶

どうもみなさまこんばんは。 2024年明けましたね。ただ、おめでとうという言葉を使いたくなくなる くらい、年明けから悲しいニュースが続いています。まだ二日目なのに・・・。 能登の地震で被害に遭われた方、心よりお見舞い申し上げます。 私の友人も…

一穂ミチ「ツミデミック」(光文社)

一穂ミチさん最新刊。犯罪小説ばかりを集めた短編集。六編が収録されています。 どれもなかなか読ませる作品ばかりでした。コロナ禍のパンデミックな世の中で 起きる罪深き人々の物語。救いのないノワール系小説ばかりかと思いきや、後半は 救いのある結末の…

「おひとりさま日和」(双葉文庫)

奇しくも、女性作家だけのアンソロジー二連発となりました。こちらは、『おひとり さま生活』をテーマにした六人の女性作家によるアンソロジー。なんだか、身に つまされるようなお話が多かったなぁ。今は相方がいるけど、自分が残された 場合、確実に『おひ…

アミの会編「おいしい旅 しあわせ編」(角川文庫)

アミの会の新作アンソロジー。『思い出編』『初めて編』に続く第三弾。旅行 大好き人間としては、旅関連のアンソロジーを読むのは毎回とっても楽しい。 各主人公たちと一緒にいろんな場所に旅をした気になれるんですよね。行った ことがある場所だと、『あそ…

井上真偽「ぎんなみ商店街の事件簿 SISTER編」

という訳で、BROTHER編からさほど待たされることなくSISTER編が回って来ました。 ただ、できれば二冊手元にある状態で読みたかったな~というのが正直なところ。 細かい設定とか、確認しながら読みたかった。BROTHER編と同じ三つの事件を 描いているのですが…

阿津川辰海「午後のチャイムが鳴るまでは」(実業之日本社)

最近話題の阿津川さんの新作。あまり読んだことがないのですが、新着情報の あらすじ読んで面白そうだったので借りてみました。都心に近い九十九ヶ丘高校に 通う高校生たちの、ある日の昼休みまでの悲喜こもごもを描いた連作短編集。 たった半日(作品によっ…

坂木司「アンと幸福」(光文社)

和菓子のアンシリーズ待望の新作。前作から三年が経っているそう。大好きな シリーズなので、読むのをとっても楽しみにしていました。期待に違わず、 今回も面白かった~。デパ地下の和菓子屋『みつ屋』でのアルバイトも板について 来たアンちゃん。大好きな…

井上真偽「ぎんなみ商店街の事件簿 BROTHER編」(小学館)

井上さん新刊。おそらく二冊同時発売だったのかな?これとは別に、SISTER編 というのも出ています。Side-A、Side-Bみたいな感じらしい。予約が回って来た のがこちらが先だったのでこちらから読みましたが、一説によると、SISTER編 の方を先に読んだ方が良い…

朝倉秋成「六人の嘘つきな大学生」(角川文庫)

大手のIT企業スピラリンクスの最終選考に残った六人。最終試験は、六人で 行うグループミーティング。一ヶ月間の猶予の中でチームを作り上げ、有意義な ディスカッションを行え、というもの。内容次第では六人全員採用ということも あり得ると言われ、六人は…

鈴木るりか「星に願いを」(小学館)

田中さんシリーズ最新刊。二作の中編が入ってます。今回も良かったな~。って いうか、今までの作品の中に散りばめられた伏線をこの一作で回収したって 感じ。二作目で出て来た花実ちゃんの実のおばあさんが、なぜあんなに突然 二人の前に現れたのか(表向き…

長岡弘樹「球形の囁き」(双葉社)

『傍聞き』の羽角母娘シリーズ最新作。娘の菜月視点、母親の啓子視点が交互に 描かれる連作短編集。一作ごとに菜月がどんどん成長して行って、最後には 母親にまで。ちょっと、ちょっと、一冊で時が進み過ぎじゃない?^^;もう 少しゆっくり菜月の人生を描…

近藤史恵「間の悪いスフレ」(東京創元社)

大好きなビストロ・パ・マルシリーズ第四弾。久しぶりに新作が読めて嬉しいです。 毎度ながら、薄い上に読みやすいのであっという間に読めてしまう。ほんとは もっとゆっくり時間をかけて読みたいのだけれど。今回も三舟シェフのお料理は どれも美味しそうだ…

滝沢カレン「馴染み知らずの物語」(ハヤカワ新書)

こちらもブランチで紹介されていた作品。滝沢カレンちゃんが結構好きなので、 興味を惹かれて借りてみました。カレンさんが、タイトルとざっくりした 概要だけを聞いて、あらたに自分で考えだした物語の数々をまとめた一冊。 取り上げられた作品をざっと紹介…

岡崎琢磨「鏡の国」(PHP研究所)

ラストの反転が話題になっている(らしい)岡崎さんの長編ミステリー。ブランチ でも取り上げられていたので、読むのを楽しみにしていました。表紙までもが 伏線らしいと聞いていたので、この表紙にどういう意味があるのかな~と考え ながら読みました。右目…

井上真偽「アリアドネの声」(幻冬舎)

井上さん最新長編ミステリー。今までの作品とは大分雰囲気が違うので、最初 ちょっととっつきにくいのかな?と思いながら読み始めたのだけど、読み進めて 行くにつれてどんどん引き込まれて行って、後半は先が気になって一気読み。 面白かった! 最新のIT技…

べるさんちの薔薇 2023年秋

どうもどうも、みなさまご機嫌いかがでしょうか。あんなに暑かった猛暑も去り、 秋を通り越して一気に冬が来たような寒さになりました。体調崩されてません でしょうか。私は夏の暑さには辟易しつつ、身体は元気でした。暑いのも好き じゃないけど、寒いのが…

乾ルカ「葬式同窓会」(中央公論新社)

久しぶりの乾さん。刊行インターバルが短くて、最近は全然追えてなかったの ですが、気になるタイトルだったのでなんとなく食指が動いて借りてみました。 確か、ブランチでも紹介されていたような。だから引っかかったのかも(違う 作品だったかもですが^^…

青山美智子「リカバリー・カバヒコ」(光文社)

青山さん最新作。もともと好きな作家さんですが、いつもの如くに王様のブランチ で取り上げられているのを観て、とても面白そうだったので読むのを楽しみに していました。 いやー、もう、期待通りの内容でしたね。これ読んで、タイトルのカバヒコを 好きに…

藤崎翔「モノマネ芸人、死体を埋める」(祥伝社文庫)

最近ちょっと注目している藤崎さんの最新作。『逆転美人』は結構話題になって いるみたいですね(確かに面白かった)。 今回は、往年の名野球選手・竹下竜司のモノマネで食べている、モノマネ芸人の マネ下竜司こと関野浩樹が主人公。竹下本人からも認められ…

今村昌弘「でぃすぺる」(文藝春秋)

今村さん最新作。小学生が主人公のジュヴナイルと知って、ちょっとびっくり しましたが、評判良さそうなので楽しみにしていました。 小学六年生のユースケは、夏休みが終わり、新学期が始まったのを機に、自分の オカルト趣味を壁新聞で生かしたいと考え、意…

坂井希久子「粋な色 野暮な色 江戸彩り見立て帖」(文春文庫)

江戸版のカラーコーディネーター(色見立て師)お彩が活躍する、シリーズ第三弾。 前作で、塚田屋の主人・刈安から、流行色を作り出してみろと無理難題をふっかけ られたお彩と右近。出来なければお彩は職を失い、右近は塚田屋を去らねば ならない。焦るお彩…

今野敏「署長シンドローム」(講談社)

隠蔽捜査シリーズのスピンオフ。竜崎が去った後の大森署にやってきた、新しい 署長を巡る物語。この間読んだ隠蔽捜査シリーズの最新刊で初登場した、大森署 の新署長・藍本小百合。その類まれなる美貌で、見る者を虜にしてしまう特殊能力 を持つ。そんな大森…

青柳碧人「むかしむかしあるところに、死体があってもめでたしめでたし。」(双葉社)

むかしばなしシリーズ第三弾。タイトル長いよ(笑)。このシリーズ大好きなのに、 これで完結なんだそう。悲しい。 もっと続けようと思えばいくらでも続けられそうなんだけどなぁ。さすがにネタ 切れしてきたのかしらん。 今回も、日本の昔話とミステリーが…

燃え殻「ブルーハワイ BLUE Hawaii」(新潮社)

ついつい読んでしまう燃え殻さんの最新エッセイ。今回も、うんうんわかるわかる と思えるものから、それはどうなの燃え殻さん!ってツッコミたくなるものまで いろいろ。でも、どれもが燃え殻さんの人柄が忍ばれて、どれを読んでも 楽しいし、切ない。なんだ…

久青玩具堂「まるで名探偵のような 雑居ビルの事件ノート」(東京創元社)

久しぶりのミステリ・フロンティア作品。青春ミステリで連作短編集っぽかった ので、借りてみました。しかし、ずっと刊行予定作の欄に書かれている梓崎優 さんの作品は、一体いつになったら刊行されるのだろう・・・。次かな次かな、と いつも心待ちにしてい…

歌田年「紙鑑定士の事件ファイル 紙とクイズと密室と」(宝島社)

シリーズ第三弾。創刊二周年を記念して、紙業界誌『月刊KAMI-ZINE』に掲載された 懸賞つきクイズコーナー『紙人32面相の紙ってる!推理クイズ』が、紙業界内で 話題になっていた。紙人32面相なるオリジナルキャラクターが読者に推理クイズを 出題し、正…

中島久枝「しあわせガレット」(角川春樹事務所)

はじめましての作家さん。なぜこの本を手に取ったかというと、ただ単純に、 私がガレットという食べ物が大好きだからです(笑)。最近は全く食べてないの ですが、一時期はまって、いろんなガレット屋さんに行ってました。自分でも よく作ってましたし。そば…