ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

神山裕右/「カタコンベ」/講談社刊

第50回江戸川乱歩賞受賞作、神山裕右さんの「カタコンベ」。

山奥で人跡未踏の洞窟が発見された。5人編成で組まれたアタック班が調査に向かったが、悪天候の為
洞窟内で崩落事故が発生、5人は閉じ込められてしまう。かつての恩人の娘がその調査隊の中にいると
知った東馬は、自らのケイビング(=洞窟探検)の知識を生かして救助に向かうのだが・・・。
リミットは水没までの5時間。果たして東馬は彼らを救うことができるのか?

どの書評を見てもこれでもかという酷評で気の毒になる位。確かに文章は稚拙な感じだし、後半の
殺人部分は唐突な感じがするし、全体的に荒いなぁという印象ですが、私はそれなりに
面白く読めました。というのも、舞台が洞窟だから。私、洞窟フェチなのです。大自然が作った
神秘の空間。人間が踏み込んではいけない神の領域って感じがなんとも好きなんです。
そんな閉じられた空間で起きる事故や殺人。その雰囲気は十分伝わって来ましたし、
ケイビングという聞きなれない特殊な世界も面白かった(やってみたい)。
とりあえず、面白そうだと思う要素を詰め込んで見たという乱雑な雰囲気があるので、もう少し
書きたいものを整理してすっきりさせたら良いのではと思いました。
パニック小説にしたいのか、ミステリ小説にしたいのかはっきりしなかったあたりが
読者離れの原因ではないでしょうか。まぁ、文章力という点でも問題ありですが。

洞窟探検は個人的にほんとにやってみたいです。旅先に行っても洞窟と聞くとすぐ寄ってみたく
なっちゃいます。変ですかねぇ?
しかし、この作品のような状況に置かれるのはご免被りたいですね。

余談ですが、日本の洞窟で一番印象に残ってるのは岩手県にある龍泉洞。中学の時の修学旅行
で行ったのですが、その透明度の高い水は信じられない程清冽で、美しいエメラルドグリーンの
色に吸い込まれそうになりました。この時から私の洞窟好きが始まったような・・・。
海外では、洞窟というか、パリのカタコンベ(地下墓地)は雰囲気満点でしたねぇ。
無数の髑髏が両側からにらんでいて、ぞくぞくしました。一人では絶対入れません^^;