ミステリ読書録

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「ゲド戦記」

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ゲド戦記」/ 監督:宮崎吾朗 / 原作:アーシュラ・K・ル=グウィン
       製作:スタジオジブリ
       声の出演:岡田准一手嶌葵菅原文太

世界は、聖なる生物の竜が共食いを始め、農民は田畑を捨て、職人は技を忘れ、人々は魔法を
信じることが出来なくなっていた。大賢人ゲド(ハイタカ)は、世界の均衡を崩す原因をつき
とめる為の旅に出た。旅の途中で、国を捨てた王子アレンと出会い、旅を共にする。

観て来ました・・・あの~~~、これってホラー映画ですか?いや、どう観てもホラー映画
でしたよ。お子様連れで行かれようと思っている方、お子様が怖がって泣くかもしれない
ことを覚悟して観に行かれた方が良いかと思います。とにかく、随所でいちいち怖い。
断言しますが、これは決してファミリー向け映画ではありません。私だって、夢に出て
来そうですよ・・・(怖)。

ジブリ作品は大好きで、ほとんど映画館に観に行きます。今回、駿監督の息子さんが初監督
ということですし、原作の「ゲド戦記」も昔からファンタジーの名作として有名な作品ですから、
それなりに期待して観に行ったのですが・・・正直、この作品の出来自体はあまり評価できません。
あまり好きでなかった前作「ハウル~」よりも更に遥かに評価は低いです。
以下は、これから観に行こうと思っている方は読まない方が賢明かと思います。


まず、ジブリ特有の映像の美しさがあまり感じられない。全体的に絵が荒く、デッサンが狂った
人物、稚拙な背景描写。駿監督との技術面での違いをはっきり感じました。
また、肝心のストーリーも全てにおいて説明不足ですし、最後まで観ても腑に落ちない所だらけ。
ハイタカ=ゲドという説明自体が全くない。ゲドという単語が出て来たのも、劇中
たったの一回だけ。それもつぶやくようにテナーが唐突に呼ぶ一回。多分観ている方の何割かは
ゲドって何だよ!って突っ込みを入れたくなったんじゃなかろうか・・・。
それに、酷いのはアレンのキャラクター。あれじゃーただの○殺しの殺人鬼ですよ・・・。
どうしてそういう経緯に至ったのかの説明も不十分。いきなりのっけからそのシーンが出て
来るので、観客も引いてしまいますよ。他にもあげようと思えばきりがない位の穴がいっぱい。

う~~ん、かなりの辛口になってしまいました。私自身も駿監督ほどではないことは承知の上
でしたが、ここまでとは・・・残念です。脚本はせめて、違う人に任せてしまった方が良かった
のではないかなぁ(丹波圭子さんという方との共同作業だったようですが)。
もし、駿監督がこの作品を撮っていたとしたらどうなっていたのか、非常に気になります。
そして、原作者がこの映画を観てどう感じるのかちょっと怖いですね。
これ、ヴェネチア映画祭の招待作品になってたような気がするんですが・・・大丈夫か、
日本のアニメ映画。

唯一良かったのは、手嶌葵さんの歌う「テルーの歌」が美しかったことでしょうか。
心に染みる素敵な歌声でした。