ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

大山誠一郎/「アルファベット・パズラーズ」/東京創元社刊

大山誠一郎さんの本格パズラー・ミステリ「アルファベット・パズラーズ」。

東京・三鷹市井の頭公園のそばにある< AHM >という四階建てのマンション。そのオーナー
である峰原卓の住む最上階の部屋には、彼の人柄に惹かれて人が集まってくる。そのメンバーは、
一階に住む警視庁捜査一課の刑事である後藤慎司、二階に住む精神科医の竹野理絵、三階に住む
翻訳家の奈良井明世の3人。彼らは、オーナーが淹れる美味しい紅茶を飲みながら、慎司が関わ
った事件の真相を推理し合うのだ。ある日、慎司が持ち出したのは、自分が毒殺されるという
妄想に駆られた資産家夫人の殺害事件だった。巧妙に仕掛けられた殺人事件の真相とは?(「P
の妄想」)アルファベットに纏わる3つの事件を収録した連作集。

これは、面白かった!久々に細密なロジックに彩られた良質の本格ミステリを読んだという
感じでした。この作品はミステリフロンティアの中でも読んでみたいと思っていた作品の
筆頭だったので、割と期待して読んだのですが、期待以上に私好みの作品でした。
特に、ラストでの仕掛けにはびっくり。この手の仕掛けは先行作をいくつも読んでいるのですが、
やっぱりやられた~って思いましたね。前2作も本格ミステリとしての王道を貫くようないい作品
だと思います。容疑者が少ない中での意外性という意味では、どちらも‘やられた~’感がありま
した。峰原氏の華麗なロジックにもうっとり。きちんと本文中にちりばめられた伏線を辿ると、
成る程、と納得できる。3作目の途中読んでいる時点では、トリックとして好きなのは「Fの告発」、
タイトルのつけ方で好きなのは「Pの妄想」だったのですが、ラストのラストまで読んで「Yの誘拐」
に全てを持って行かれた感じでした。この終結の仕方は後味が悪いとも言えるけれど、
一冊の作品としての完成度に拘った結果と言えるのではないでしょうか。その手前の峰原氏の推理
の段階で十分感心してたのですけれどね。ラスト部分があることにより、全く違う事件の一面が見え、
呆気に取られました。ただ、残念ではありましたが。実はこの終結にはして欲しくなかったというのが
正直な所だったりします。なぜなら、峰原氏は恩田さんの関根父(多佳雄さん)に雰囲気が
似てるなーとほくほくしながら読んでましたので。温和で知的な所がいいのですね。この手のおじさん
キャラに弱い私・・・。しかしあのラストではねぇ・・・はぁ。

それでも、こういうミステリの醍醐味が味わえる作品が好きなんですよ。これぞ、トリック、
これぞ、ロジックってね。
大山さんは今後も追いかけたい作家の一人になりました。発見、発見♪