黒田研二さんの結婚にまつわるオムニバスストーリー「結婚なんてしたくない」。
結婚適齢期を過ぎ、結婚を意識しながらもシングルライフを謳歌する男たち。
ナンパが趣味の独身男、一人暮らしに戸惑う中年の焼き鳥屋店主、アニメ命の
オタク青年、ホモセクシュアルのジムトレーナー、同僚との結婚に踏み切れない
会社員。そんな彼らが出会ったある一人の女。
彼女によって、彼らの運命は少しづつ狂わされて行く――‘結婚したくない
’男たちの群像物語。
それぞればらばらに物語は進んで行くのですが、ラストにはちゃんと一つに集約
され、黒田さんらしい終わり方と言えるかもしれません。ただ、それまでの皮肉な
部分が一転して綺麗に終わりすぎる感もありました。各々の‘結婚しない理由’に
ついては、割合、現代社会を反映させるものが多く、共感を覚えやすいのかな。
世は晩婚化していますから、まさしく今の日本の独身男性を描いた小説と言えるの
かもしれません。と言っても、私は女性側の視線で見ているので、反論される方も
いらっしゃるでしょうけど。ただ、このヒロインには全く共感出来ませんでした。
東野さんの書く女性に通じるものがあるような・・・。もちろん、そういう女性を
敢えて登場させてる訳ですが。対して、結婚に踏み切れない会社員の恋人の言動
なんかは、女性からすると「わかるわかる」って感じもありますね。煮え切らない
態度の男に対して、やっぱり女性からすると焦りを感じるでしょうからね。結婚した
友人のほとんどが言うのは、「結婚はタイミング」という言葉。お互いの気持ちの
タイミングがずれると、きっとこういうケースになるのでしょうね。
まぁ、結婚をしていない私にはなんとなく身につまされるような小説ではありました。男性が読んだら、頷ける部分も多いのではないでしょうか。この小説を最後まで
読んで「結婚なんてしたくない」と思うのかどうか、それは読んでのお楽しみ。
いつもの複雑な黒田ミステリとは違いますが、テンポ良く読めるし単純に面白かった
です。
既婚者も未婚者も「結婚」について、いろいろ考えさせられますよ。
是非お手に取ってみて下さい。