ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

芦田愛菜「まなの本棚」(小学館)

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幼い頃から読書家として有名な芦田愛菜ちゃんが、満を持して(笑)出版した、

読書に纏わるエッセイ。愛菜ちゃんの大の本好きは、同じ本好き人間として、

小さな子役の頃から感心して眺めていたので、有名難関中学に進んだ今の愛菜

ちゃんが、どんな本を読まれているのかはとても興味があって、これは絶対

読んでみたい!と思っていました。

彼女が小さなころは、年間300冊以上の本を読んでいる、とお話されていた

ように記憶していますが、今現在は年間100冊程度に落ち着いているようです。

多分、小さい頃は童話なんかも多かったからその冊数だったんでしょうね。

だって、あれだけ仕事をしていて、学業もしっかりやっていて、300冊って、

あり得ないペースですもんねぇ。100冊読まれているのもすごいと思う。

だって、きっと私なんかよりも数倍忙しい筈だもの。今は、普通に大人向けの

長い小説なんかもバンバン読まれているから、この冊数なんでしょう。それに

しても、読まれている本もほんとにジャンルは多岐に亘っていて、まさに

読書家と云って良いと思う。私のような偏ったジャンルしか読まないような

人間は、確か前にも誰かの読書エッセイの時書いたと思うのですが、間違っても

読書家などとは言えないですもん。ちょっと小説が好きな凡人、くらいかな。

愛菜ちゃんが本当に本が好きっていうのが随所から伝わって来て、読むのは

とても楽しかったです。文章は、少しまだぎこちない感じもありますけれど、

素直で丁寧な文章で読みやすいし、感想なんかもしっかり作品の本質を捉えていて、

頭が良いのが伝わって来ました。ただ、ひとつだけ気になったのは、!(エクス

クラメーションマーク)が頻用されているところ。そこだけは、あんまり好み

じゃなかったですけども(個人的な好みの問題かと思いますが)。

青春小説は、私も読んで好きな作品がたくさん紹介されていて、嬉しかったです。

恩田さんの夜のピクニック三浦しをんさんの『風が強く吹いている』

宮下奈都さんの『よろこびの歌』森絵都さんの『DIVE!!』etc. 

はやみねかおるさんの都会のトムソーヤーシリーズは、そういえば途中まで読んで

止まったままだったので、これを読んでまた再開させたくなりました。

海外小説や日本の古典、歴史小説、文豪作品まで、大人顔負けのラインナップで、

ただただすごいなぁと感心するばかり。しかも、それを初めて読んだのが小学生

だったりするんだから、もう脱帽するしかないです。一冊ごとの熱意もすごくて、

本当にこの小説が好きなんだなぁというのがひしひしと伝わって来ました。

私が同じ本を紹介したとして、これだけの熱意を持って紹介出来るだろうか

(多分、無理。語彙力も足りないし)。

自分の今までアップしてきた読書感想が恥ずかしくなってしまいます。女優と

しての才能もさることながら、今後はこうやって文章の仕事も増えて行くの

ではないかな?と思いました。

山中伸弥教授と、辻村深月さん、それぞれの対談もとても興味深かったです。

山中先生との対話も、しっかり聞きたいことを言葉にして聞かれているし、

その答えもご自分の中できちんと理解して受け取っているところはただただ

すごいなぁと思うばかりでした。

辻村さんとは、愛菜ちゃんが神様と崇めるだけあって、ファンとしての興奮が

伝わって来る対談で微笑ましかったです。辻村さんも、とても優しく温かく対応

されていらっしゃるし。いい関係だなぁと思いました。愛菜ちゃんが辻村さんを

好きになるきっかけになったかがみの孤城のオオカミさま、確かに

愛菜ちゃんが演じたらハマりそう!ぜひ映像化して欲しいな。そういえば、

本屋大賞作品で映像化されていないのは珍しいですもんね。企画はあるのかな?

お友達と本の感想を言い合うのが楽しいとか、紙の本を捲る手触りが好きとか、

読む本をフィーリングで選ぶとか、本に纏わることに関しては共感出来る

ところがたくさんありました。愛菜ちゃんの同級生として、愛菜ちゃんと

本の感想を言い合ってみたくなりました。

頭も良くて、すごい女優さんでもある愛菜ちゃんだけど、素顔はとても

普通の女の子。学校行事にも全力で取り組むそうで、お友達も多そうです。

リア充ってこういう子のこと言うんだろうなーと、ちょっぴり妬ましく

なってしまった。だって、女優さんで容姿も端麗、偏差値の高い有名な

学校に通う才媛でもあるのに、友達もいっぱいで、学校生活を十二分に

楽しんでいるみたいなんだもの。たくさんの才能に恵まれた愛菜ちゃん、

今後も今のまま、素直にまっすぐ育って欲しいな。