ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

相沢沙呼「medium 霊媒探偵 城塚翡翠」(講談社)

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相沢さん最新作。デビュー作から追いかけているので、新刊が出たら必ず

予約する作家さんではあるのですが、本書を図書館予約した後で、読書

メーターの今読みたい本ランキングの1位になっていたので、ちょっと

ビックリしました。そんなに話題になっている本だったの?と。タイトル

だけ見たら、なんか微妙なオカルティズムが漂っているし、作風変えて

来たのかなぁと、予約するの若干躊躇したくらいだったんですけど^^;

なるほど、なるほどぉ~~!って感じです。これは確かに、ヤラレタ感

満載です。まぁ、個人的には、ショックな騙され方だったのですけども。

だって、最終話読むまでは、全然違う感想を持っていたのですもの。

とにかく、三話目までは(全部で四話入ってます)、ヒロインの翡翠

対して、久しぶりに萌え萌え系のヒロインキターーーーっ!!って喜んで

ニヤニヤしながら読んでたんですから。これは、下手するとサンドリヨン

シリーズの初やマツリカシリーズのマツリカさんを超える萌えヒロイン誕生

じゃないのっ!?ってね。もう、わたしのオヤジ心をくすぐる、くすぐる(笑)。

間違いなく、これは令和一の萌えミスよっ!と断言したくなるくらい、

興奮していたのに・・・のにぃぃぃーーー。

何なんですか、あの最終話!あんなの反則だよぅ。嘘でしょ、誰か嘘だと

言ってぇ、と叫びたくなりましたよ。あまりのショックに呆然。いや、見抜け

なかった私がアホなだけなんだけどさ。それにしてもさ、落差が激しすぎて。

もう、最初から読み直したくなりましたよ。全部が全部、伏線みたいなもの

だったんですね。まぁ、たしかに、後から考えると、いろいろあざとい感じは

しますけどね。普通に素直に受け取ってましたよ。はい、アホまるだしですよ。

まぁ、それを言ったら、主人公だっておんなじ立場ですけどね。っていうか、

主人公の香月のことも、大いにショックでしたけどね。

一話ごとに、連続殺人鬼・鶴岡視点の物語を挿入したところが、ニクイ

ですね。これで完全にミスリードさせられてしまった。

うーーー。ヤラレタ!感を考えると、ミステリとしては100点ではあるの

ですけどね。でもなぁ。個人的には、ガッカリ感も大きくてね。

霊感で犯人がわかってしまう萌え系美少女翡翠と、彼女の直感を論理的に

解明する探偵役の香月、ふたりの探偵コンビが気に入ってたんで。

いろいろ欺かれていたんだなぁと、自分の見る目のなさが一番残念かも。

いや、これ大体の人が騙されると思うけども!

でも、話題になるのも頷ける、良作なのは間違いないと思います。今年の

ミステリランキング上位には間違いなく入って来るんじゃないかなぁ。

三作目までは、ミステリ的にはそんなに特筆すべきところはないので、

これから読まれる方は、そこで見限って読むのをやめてしまうのは絶対辞めて

欲しいなと思います(その特筆すべきところはないところも伏線のひとつ

だと思うんで)。これ以上は、何を書いてもネタバレになっちゃいそうだ

(それでなくても、大分ネタバレ気味な気がするし・・・)。

とにかく、この作品のキモは、すべて最終話ですので。ぜひ、読み通して頂き

たいな、と思います。

表紙の遠田志帆さんの翡翠がまた良いのよねぇ。

まぁ、あのラストを受けても、私はやっぱり翡翠ちゃんのファンですよ!

いや、あのラストを受けたからこそ、とも云えるかもしれませんけれども。

最後、翡翠の本心が真さんが思った通りだったとしたら、やっぱり萌え系だと

思うしね(笑)。

真さんと翡翠の過去とかも知りたいし、続編あると良いなぁ。