ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

秋川滝美「ひとり旅日和」(角川書店)

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『居酒屋ぼったくり』シリーズの秋川さんの新作。タイトル通り、主人公が

ひとり旅の面白さに目覚めて、次々とひとり旅をして行くロードノベル。

主人公の梶倉日和は、人見知りで要領が悪いせいで、せっかく入った会社でも

上司に怒られてばかり。落ち込む日和に、ある日目をかけてくれている社長から、

ストレス解消にひとり旅に出てはどうかと提案される。戸惑う日和だったが、

会社の先輩で旅行好きの麗佳に後押しされ、とりあえず日帰り旅行に行って

みることに。まずは熱海へ。行ってみるとひとり旅は思いの外楽しく、日和の

ストレスを解消してくれた。そこから、旅の面白さに目覚めた日和は、次々と

旅に出るように。一つ旅に出る度に自分に自信をつけて行く日和は、仕事でも

少しづつ失敗が減って行くように――。

私も旅行は大好きで、毎年どこかへ出かけていますが、実は一人旅って一度も

したことがありません。旅は道連れってタイプなんで。うちの姉は独身時代は

よく一人旅に出かけてましたけどね。海外とかも平気で一人で行っちゃう。

私は結構ビビリなんで、一人はちょっと勇気が出ないんですよね~^^;

基本、なんでも一人で出来るタイプなんですけども(買い物とか食事とか、

美術館なんかも独身時代はよく一人で行ってました)。でも、本書の中で、

日和が一人でいろんな場所を巡っているのを読んで、一人で旅するのも楽しそう

だなーと思いました。行く場所なんかも全部自分で決められるし、起きる時間

とか食べる物も自分の好きに出来る。ツアーでもないから、回る時間とかも

自分の体力や体調に合わせてのんびり設定出来るし。自由でいいなぁと思いました。

日和も最初は一人で入る飲食店とかでおどおどしがちだったけれど、旅慣れて

行くにつれて一人呑みまで出来るようになって、すごいな~って感じでした。

まぁ、私はお酒が飲めないので、一人呑みはどれだけ経験積んでも無理ですけど^^;

一人旅を経験していると、なんでも一人でやらなきゃいけないから、度胸も

つきますよね。人見知りの日和が、男性と普通に会話出来たり、一緒にご飯

食べに行けたりするんですから。会社で上司に怒られて(理不尽な怒られ方

ではあったけど)、自信喪失している日和とは別人のように生き生きしていて、

旅に出て経験を積むことの素晴らしさを感じる作品でした。

また、日和が訪れた土地ごとに、美味しそうな郷土料理が出て来るのも、秋川

さんならでは。その土地でしか食べられない美味しい料理は、旅の醍醐味の

ひとつですもんね。家族に買うおみやげを選ぶところも、家族への愛が感じ

られて良かったですね。

そして、行った旅行を報告出来る先輩の麗佳の存在も大きいと思います。

良い体験をしたら、それを語る人がいればより旅も楽しくなるというもの。

私の場合は、ブログがその役割を担ってくれているのですけれど。これ、ブログの

ネタになるな~と思いながら旅してますから(笑)。

日和が旅した熱海、千葉の佐原、仙台、金沢、福岡、どこもその土地ならではの

良さを感じられる場所でした。この中で私が行ったことないのは、佐原と

仙台。どちらも行ってみたい!佐原ってこのお話読むまでは全然知らなかったの

ですが、埼玉の川越のような小江戸と呼ばれる水郷の街なのですね。風情ありそう。

仙台は、やっぱり牛タン食べに行ってみたい~。フィギュアスケートの羽生選手

の生まれた場所でもあるから、スケート関連の場所なんかも訪れてみたいしね。

一話目で、熱海で日和と温泉卵を一緒に食べた青年は、この時点で名前すらわから

ないまま別れてしまったものの、なんとなくその後もまた出て来そうだなーと

思ってたんですが、予想通りでしたね。麗佳とのつながりにはびっくりしましたけど。

引っ込み思案な日和が、最後あれだけ積極的に彼との繋がりを持とうとするのだから、

その成長っぷりには驚かされるばかりでした。続きがあるならば、この二人の

今後の関係の変化にも注目して行きたいです。