死者の骨を材料にして作ったカップに特定の液体を注ぐと、その死者の魂がカップ
に宿り、液体が入っている間だけ話が出来るようになる――殺人を目撃した筈
の死者は何を語るのか?かなり特殊な設定の異色ミステリー集。
奇抜な設定ですが、きっちり本格テイストも味わえて面白かったです。ただ、
前半二編の作品までは良かったのですが、三作目の『リアル・ドール』以降、
後半だんだん作品がエロに傾いてしまったのが残念。一作目はいつもの百合要素が
入っていても、しっかり本格テイストだったのだけれど。『リアル~』はまだ、
エロの中にもミステリとしての衝撃が大きいので読みどころがあったけど(エロ
描写は一番凄かったけど・・・ドン引きもしたけど!!)、最後の二作はただ
エロ中心になってしまって、完全に物語が破綻してしまっていたような・・・。
なんかもう、西澤さんのアブノーマルなセクシュアリティを読むのは正直辟易
しているところもあるんですよね・・・。普通のミステリだって書こうと思えば
いくらでも書けるはずなのに、なんでいちいちそういう要素を入れちゃうのかなぁ。
だからいまいちブレイクしきれないのでは・・・だって、読者を選ぶ作品ばっか
出すんだもん。初期の頃の『七回死んだ男』みたいな作品書いてれば、もっと
メジャーな作家になっていたんじゃないのか・・・。せめて、せめてたまには
百合要素を排除してくれ~~~。もう食傷気味なんだよぅ(涙)。一作目なんか、
ミステリとしてはとてもおもしろかったのに、百合要素がどうしてもそれを
邪魔している気がしてならなかったです。西澤さん、普通にご結婚されている
はずなのに、なぜセクシャルマイノリティな人物ばかりを取り上げるのだろう。
謎過ぎる。それが西澤カラーと言われてしまえば何も言えませんけども。
今回なんか、百合だけじゃなく、ゲイやら近親相姦やら、マイノリティな性癖を
持つ人間のオンパレード。
編集者もよくOK出すよなぁ。それとも、そういうのを期待する読者がたくさん
いるのだろうか。やっぱり謎。
死者を蘇らせる方法としては、かなり斬新な設定でしたね。そこが面白かった
だけに、エロ描写が残念でなりませんでした。
手元にある腕貫探偵シリーズの新刊に期待しよう(といっても、こちらも絶対
百合要素は入っているのだろうけども^^;)。