シリーズ第5弾。前作が最終巻みたいな終わり方だったので、もう続きないの
かな?と心配していたので嬉しいです。すでに6巻も出ていますし(予約中)。
ただ、本書はシリーズに出て来る様々な人物たちの過去を描いたスピンオフ。
この三日月堂の本編に繋がる、とても重要なお話ばかりです。読めて良かった。
現在の三日月堂の店主、弓子さんの亡くなった母親や父親も語り手となって
登場します。どちらも、素敵な人でした。三日月堂の前店主である、弓子さんの
おじいさんや、その妻であるおばあさんも出て来ます。それぞれに、弓子さんの
ことをとてもとても大事に思っているのが伝わって来て、弓子さんはこんな
素敵な人たちに育てられて来たんだな、と温かい気持ちになりました。
でも、だからこそ、今その人々が誰ひとり弓子さんのそばにいないのが悲しく
なりましたが・・・。特に、お母さんは弓子さんが三歳の時ですからね。
きっと、もっともっと彼女の成長を見守りたかったでしょうね・・・。
彼女が幼い頃から三日月堂の仕事を手伝うのが好きで、活版印刷に興味が
あったのがよくわかりました。小さい頃の弓子さんは、屈託なくて明るい、
元気いっぱいって感じの女の子で、ちょっと意外でした。もうちょっと
子供の頃から物静かな子だったのかなーと思ってたので。きっと、お母さんが
いなくても、父親や祖父母が可愛がって育てたからなのでしょうね。
でも、思慮深くて健気なところはそのままで、幼い頃からいろんなことに
敏い子だったんだろうな、と思いました。
副題になっている、空色の冊子のことを書いたお祖父さんの回が良かったな。
優しいお祖父ちゃんが、孫の弓子さんと作った幼稚園の卒園記念冊子。活版印刷で
記念冊子を作るなんて、素敵だな~。これは一生の記念になるでしょうね。
二人で作っている様子がとても微笑ましくて。お祖父さんの子供たちへの
優しい想いにも、胸を打たれました。
最後の話は、弓子さんが三日月堂を継ぐことになった直前の様子を描いたもの。
引っ越しの直前に、こんな出来事があったとは。天涯孤独で身も心もボロボロに
なってしまった弓子さんに寄り添ってくれた唯さん。彼女がいてくれて、本当に
良かった。逆に、唯さんにとっても、この時の弓子さんとの出会いが、人生を変える
転機になったのではないかと思う。いつか二人で、この時の出会いを笑って
話せる日が来るといいな、と思う。唯さんが女優として有名になる日もね。
最後を読んで、また一巻を読み返したくなりました。あの時の弓子さんは、
唯さんとのこういう時間を過ごした後だったんだな。
続きもすでに出ているので、読めるのがとても楽しみ。早く回って来ないかな。