ミステリ読書録

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ほしおさなえ「活版印刷三日月堂 小さな折り紙」(ポプラ文庫)

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シリーズ第六弾。前作から日を待たずに読めて良かったです。前作が前日譚

だとしたら、こちらは後日譚。三日月堂のそれからが描かれます。今回も

どのお話も良かったなぁ・・・。たまに、この主人公、どこで出て来た人

だっけ?ってひともいたけど・・・(一話目のマドンナとか。完全に誰だっけ?

状態でした^^;)。

楓ちゃんのおばあちゃんの実家が取り壊されることになったのは、ショックでした。

万葉集の中に出てくる植物ばかりを植えられた庭。想像するだけでも、美しい

のがわかります。でも、最終的には、取り壊されない方向に向かいそうなので、

ほっとしました。まだどうなるかわかりませんけどね。良い結果になるといいな。

弓子さんのお母さんの詩集も無事出版されて良かった。弓子さんの恩師に

協力を仰げたのも良かったですね。活版印刷で刷られた詩集。手に取ってみたい

なぁ。活版印刷の文字自体を見てみたい。このシリーズを読み始めてからずっと

切望していることですけれど。もちろん、生の印刷工場も見てみたいですし。

どこかに残っているのかな?

最終話に出て来た佑くん。最初出て来た時、もしかしてこの子は・・・!と

期待して読んでいたら、やっぱりその通り。友達思いの、とっても良い子で、

嬉しくなりました。両親に大事に育てられているのがとても良くわかります。

周りの大人たちも、みんな良い人ばかりですしね。

そして、何より嬉しかったのは、三日月堂に活気があることです。弓子さんが

ひとりで始めた時からは考えられないくらいに。活版印刷の未来は明るい、と

思えるほどには。もっともっといろんなアイデアを出して、活版印刷の世界を

広げて行ってほしいな、と思いました。

さすがにこれで打ち止めなのかなぁ・・・。それとも、次は佑くんの成長を

追って行くお話になるのかな。どんな形でもいいから、また三日月堂の世界が

読みたいです。