あの傑作群像劇『ドミノ』の続編。いやー、続編出るとは思わなかったので
ちょっとびっくり。しかも19年ぶりですって。当然、出版当時に読んだので、
内容なんかさーっぱり覚えてませんでしたけど^^;もちろん、登場人物も
全く記憶から抜け落ちてましたし。ただ、とにかくたくさんの登場人物が
次から次へと出て来て、それがラストで一つに集約していくところが面白くて、
大好きな作品だったことは鮮明に覚えてます。だから、続編出たのは素直に
嬉しかった。今回も、いろんな立場の人物(+動物)が複雑に絡み合って、
最後に収束して行く群像形式。登場人物が多いので、多少混乱したところも
ありますが、概ねはキャラが立っているのでストーリーを把握すること自体は
問題なかったです。ただ、舞台が上海なだけに、中国人も多く登場するので、
名前の読み方が覚えられなくって苦戦した感じはありましたけどね。
前作にも登場したらしい日本人たちのことは誰ひとり覚えてなかったです^^;
軽くおさらいしてから読めば良かったかもしれない・・・と後悔しても遅く。
いつものごとく、まぁいいや精神で読んじゃいました(苦笑)。
個人的に一番のお気に入りは、パンダの厳厳ですねー、やっぱり。もー、どんだけ
狡猾で知能の高いパンダなの!?と感心通り越して呆れましたよ・・・。中に人間
入ってないよね!?と何度も確認したくなってしまった。ZIPの星星か!(笑)
あれだけの執念で山に帰りたがっていた厳厳だったので、願いを叶えてあげたい
なぁと思いながら読んでました。最後までハラハラさせられましたね~。魏との
ラストの攻防も面白かったです。なんだかんだで、魏は厳厳のことを一番に
考えてるのがわかって、感動しちゃいましたし。長年いがみ合って対立して
来たのにね。いや、人対パンダなんだけどさ。
あと、イグアナのダリオのキャラもいい味出してましたね。厳厳みたいな
知能はないけど、いきなり死んじゃう(というか殺される)んだけどさ。
幽霊になってふわふわ浮遊している様を想像すると、何か哀れなんだけど、
ちょっと笑えて微笑ましいというか。彼を料理した王のどこまでも悪びれない
態度にはイラッとさせられましたけども。
恩田さんには珍しく、かなりのドタバタコメディ風。途中ファンタジックな要素
も盛り込まれているので、リアリティはまるでないけど、これはこれで楽しく
読めて良かったかな。この悪ノリ風についていけない人もいそうですけど^^;
ひとつのドミノが倒れたことで、どんどん次のドミノが倒れて大事になって行く。
その感じが良く出ている作品だったんじゃないでしょうか。恩田さんが楽しんで
ノリノリで書いてるのが伝わって来たな。