全く何の予備知識もなく、タイトルに惹かれて借りてみた作品。タイトルに
本棚って入ってるってことは、本に関係するお話かなぁと思って。副題の
ゲイ彼ってとこにちょっと引っかかったのですけど^^;ただ、この副題、
カレーライスはそんなに必要だったかなぁという気はする。確かに主人公が
カレーライスをぐちゃぐちゃにして食べるシーンが印象的ではあるけれども
・・・。作品の中でそれほど重要な要素でもないと思うんだけどなぁ。
思った以上にかなりヘビーな作品でしたね。想像していた作品とはかなりかけ離れて
いて、途中かなり戸惑いながら読んでました。主人公のみのりと、大学の友人
熊本くんの友情がメインかと思いきや、みのりと熊本くんは割合最初の方で
みのりのある行動が原因で仲違いしてしまい、その後は大部分が熊本くんが
書いた小説(ほぼ私小説?)で構成されています。その中では、みのりの
亡くなった親友と熊本くんとの人知れぬ関係や、熊本くんの生い立ち、彼の
性癖が見え始める経緯なんかも描かれています。どこまでが真実の出来事なのかは
よくわかりませんが、まぁ、ほぼ本人の体験談なんじゃないかと推測。
熊本くんもみのりも、みのりの親友まつりも、みんないまひとつ掴みどころの
ない性格で、何考えてるのかあんまりよくわからなかった。誰ひとり共感出来る
人物はいなかったですね。何か、得体の知れない人たちの物語って感じだった。
そして、終盤の熊本くんに起きる奇禍は衝撃的でした。彼の生い立ちから、
物静かな彼の中でも、いろんなどす黒いものが渦巻いているんだろうなぁとは
思っていたけれど・・・父親の言動には、ただただ嫌悪感しか覚えなかったです。
せめて、みのりと熊本くんの友情が続いていたら、もうちょっと読後感も変わって
いたような気がするんですけどねぇ。ラストの、みのりの部屋での、熊本くんの
本に関するエピソードは余韻が残ってよかったと思うんだけど・・・でも、
個人的に好きな作品かどうか聞かれたら、好みではないと答えるだろうな。
熊本くんのゲイ描写がどうとかって問題ではなく。何か、全体的に、掴みどころの
ないお話で、評価が難しいというか。登場人物間の会話が、禅問答でも読んで
いるかのように理解し難かったり。こういう、行間を読むタイプの作品が評価
されるのもわからなくはないんだけど、ここまで登場人物たちの闇が根深いと、
正直読むのがしんどい。鬱屈した気持ちになってしまった。
特に、コロナで鬱々としている今読むべき作品じゃなかったなと思う。ちょっと、
読んだ時期が悪かったかも。