大崎さん新刊。四話からなる、花とおまじないにまつわる連作短編集・・・なのかな。
一応、三人の女の子が交代で主役を勤め、それぞれのお話が最後の四話目で繋がる
という構成になっています。確かに最後で全部が繋がるんですが・・・うーーん、
途中で登場人物がどんどん増えて行くので、人間関係整理するのが大変だった。
冒頭の小学生の琴美のお話まではまだ面白く読んでいたのだけれど、二話目と
三話目で話がどんどんとっ散らかって行く感じがして、途中で読んでいて疲れて
来てしまった。それぞれの繋がりも全く見えて来なかったしね。これ、ほんとに
最後に繋がるのかな?と疑問に思ったほどだったんですけど・・・そこはさすがに、
きちんときれいに繋がりました。冒頭に出て来た琴美ちゃんが、その後の話に
登場する30年前の事件の子どもなのかどうかが、この作品一番の謎だったと
思うので、そこを最後まで引っ張ったのは良かったと思います。時系列がどう
なっているのか、そこがポイントだったんですねぇ。一話ごとに話が全然完結
していないので、何か釈然としないまま次に読み進めて行く感じがして、どうも
いまひとつ乗り切れなかったです。最後に繋がるにしても、一作ごとにきちんと
オチを用意したほうが、連作短編としては面白くなったんじゃないかなぁ。
せっかく女の子らしいお花やおまじないといったモチーフをテーマにしているのに、
それが作品に生きているとも言い難いし。小学生、中学生、高校生の女の子が
主人公だからって、安易にその二つの題材を無理やりはめ込んだような扱いに
感じてしまった。あと、途中で意味深に出て来る占いのマチコおばあさん(
沙也香の祖母)も、思ったほど事件に深く関わっていた訳ではなくて、拍子抜け
だったし。こういうモチーフを持って来たなら、タイトルや表紙の通りに、大崎
さんらしい、ほのぼのとした日常の謎系のミステリとかで書いて欲しかったなぁ。
30年前の女児殺害事件や、政治絡みのホテル建設頓挫の問題といった重い内容
とこのモチーフが合ってないというか。なにか、最後まで噛み合わない印象の
お話で終わってしまった感じ。
最後はほっとする終わり方で良かったのですけどね。一話目で出て来た佐野君が
善人なのか悪人なのか、ずっと気になっていたので、そこは私が思った通りで
良かったです。
大崎さんだったら、やっぱり本とか出版社にまつわるお話を読みたいなぁ。