ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

顎木あくみ「わたしの幸せな結婚」(富士見L文庫)

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スマホのコミックアプリの広告でこの漫画版の画像が出ていて、面白そうだと

思っていたところ、小説版が図書館に入荷されたので借りてみました。

小説が先なのか漫画が先なのかはよくわからないのですが。よく行くコミック

レンタルショップで漫画版が置いてあれば良かったんだけどなぁ。置いてないん

だもん。

いかにも少女漫画っぽいお話で、めっちゃツボにはまりました。こういうの大好き。

日本版シンデレラみたいな感じ?時代は明治とか大正辺りなのかな?代々異能を

受け継ぐ名家に生まれたヒロイン、斎森美世は、幼い頃に母を亡くして、再婚した

父の結婚相手である継母と異母妹から虐げられて生きて来た。十九歳になった美世は、

父親から政略結婚を命じられる。相手は冷酷無慈悲と噂の軍人で、名家中の名家と

言われる久能家の清霞。嫁入り候補が尽く三日と持たずに逃げ出すと言われる男

の元へと追いやられた美世だったが、他に行くあてもなく逃げ帰る家もない彼女

にとって、この家で生きるしか術がなかった。しかし、清霞のもとで生活を始めた

美世は、次第に彼の優しい一面も知るようになり――。

生家で虐げられて心を縮こまらせている美世と、クールだけど実は心優しく不器用な

清霞が、少しづつ距離を縮めて行くところがなんとも乙女心をくすぐるんですよねぇ。

清霞の老いた使用人、ゆり江の存在もいいですね。美世とゆり江の関係がとても

好きです。実家にいた時の美世は、あまりにも不遇な境遇だったので、久能家に

嫁いでこれて良かったですよ。義母も異母妹も美しい容姿というけれど、心の中の

醜悪さには辟易させられました。味方をしてくれるどころか、一緒になって美世を

虐げる実父の態度も酷かったし。こんな家で育ったことで、美世は極端に自己評価が

低くなってしまい、清霞の前でも始めはおどおどしっぱなし。何をするにも怯える

彼女の言動に、もどかしい気持ちになることもしばしば。それでも、この場所で

生きるしかないと腹をくくって、清霞と向き合う美世を応援してあげたくなりました。

次第に美世に惹かれて行く清霞が、終盤彼女を奪われて逆上し、美世の実家に

連れ戻しに行くくだりは胸が熱くなりました。清霞の力の凄まじさを目の当たりに

した斎森一族の面々が、恐怖でうろたえる姿にはスカッとした。美世を馬鹿にして

いた異母妹のあからさまなアプローチをあっさり袖にした清霞の態度にも。なんの

後ろ盾もなくなった彼女は、今後苦労することでしょうね・・・。逆恨みとか

されそうでちょっと怖いですけど。まぁ、清霞が守ってくれるから大丈夫でしょう。

思いっきりベタな展開ではありますけど、こういうベタなのが大好きなんですよねー。

二巻も予約中ですが、蔵書一冊で結構予約数多いので回って来るのは一年後とか

かも・・・^^;早く続きが読みたいよー。