ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

吉田修一「泣きたくなるような青空」(集英社文庫)

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ANAの機内誌に連載されていたエッセイをまとめた一冊。単行本で出たものが

文庫化されたもよう。図書館の新着図書ページで見かけて、旅のエッセイなら

読みたいなぁと思って借りてみました。

コロナで全然旅行に行けなくなってしまったから、せめて本の中でいろんな

風景を楽しめればいいなぁという気持ちで手に取りました。

国内外問わず、旅先で出会った人や物や風景など、様々なことが取り上げられて

いて、楽しく読めました。こういう旅先での思い出話とか読むと、やっぱり

旅行に行きたいなぁと思ってうずうずしてしまいます。旅先でしか得られない

感動とか体験って、特別なものがありますからねぇ。

今、こうして簡単に国外どころか都外すら行けない日常になってみると、コロナ以前

のどこにでも自由に行けた時間って、本当に貴重だったんだな、と思わされます。

独身時代、毎年のように海外に行っておいて本当に良かった。海外なんて、次は

いつ行けるかもうわからないですもんね・・・。新婚旅行も憧れだった所に行けたし。

旅先での体験って、どっかのCMじゃないですけど、ほんとプライスレスのもの

だったんだなぁ。

あとがきで吉田さんが、エッセイの中の自分に、『お前は奇跡の中にいる

んだぞ』と言ってやりたい、とおっしゃる気持ちが、とても共感出来ました。

 

ANAのCAさんが、吉田さんのことを知らなかったのにはずっこけました。忙しい

から、機内誌なんて目を通せないのかな。でもずっと連載してくれている作家の

ことくらい知っていて欲しかった気もするけど・・・。でも、全然気分を害して

ない吉田さんってめっちゃいい人なんじゃないかと思いました。むしろ、エッセイ

のネタになったからかえって良かったのかな?(笑)

長崎の精霊流しの風景は独特で、一度でいいから見てみたくなりました。荘厳

な催しなのに、とても陽気で賑やかな雰囲気だそうで。亡くなった方たちも

海までの旅を楽しんでくれそう。きっと幻想的な風景なんだろうなぁ。

スイスのベルンでの川流れも楽しそうだったけど、溺れる人とかいないのかな、と

こはちょっと心配になりました。流れが緩やかなのかな。天然の流れるプール

とか、めっちゃ楽しそうで体験してみたい!

マレーシアのペルヘンティアン島(初めて聞きました。舌噛みそうな名前w)も

気になります。南の島大好きなので。いつか、相方と二人で行ってみたいなぁ。

どのエッセイでも、その時々に感じたことが素直な言葉で描かれていて、その土地で

感じたことや経験したことがダイレクトに伝わって来ました。

やっぱり旅のエッセイはいいですね。沖縄の空が泣きたくなるような青空って

いうのはとても良くわかる気がします。

私も、泣きたくなるような沖縄の青空、見上げに行ける日が早く来るといいな、と

願ってやみません。

対になるエッセイ集がもう一冊出ているみたいなので、そちらも読みたいですね。