本バスめぐりんシリーズ(と勝手に命名しているけれど、正しいシリーズ名は謎)
第二弾。地方の種川市をめぐる移動図書館『めぐりん』号は、バスの運転手テルさん
と司書のウメちゃんと三千冊の本を載せて各地をめぐります。彼らの元には、
本にまつわる様々な不思議が持ち込まれて――。
やっぱり、大崎さんはこういう本にまつわるお話が一番しっくり来ますね。ミステリ
としてはさほどの驚きがある訳ではないのだけれど。本好きにとって、本にまつわる
ミステリーってだけで、もう読むテンションは上がるってものです。
ウメちゃんとテルさんコンビのほんわかした雰囲気も相変わらず健在で。ウメちゃんは
見た目はのほほんとしてるけれど、ひとたび本のことになると、持ち前の知識を
総動員して謎解きに貢献。まぁ、メインの謎解き係はテルさんの方だと思います
けど。でも、はっきりどちらが探偵役って決まってる訳でもなく、二人の知識や勘を
合わせて、謎を持ち込んだ人も含めて、みんなで謎を解いて行くって感じが多い
ような。
個人的にツボだったのは、第三話の『リボン、レース、ときどきミステリ』。
この少女マンガ的展開、最高じゃないですか。冴えないOLの佳菜恵が、めぐりん
を度々利用していた所、その噂を聞きつけた同じ会社の本好きイケメン青年から、
本の話をしようとお茶に誘われる、という。確かに、リアルで本の話が出来る
知人ってなかなかいないから、本好きを発見したイケメン青年の浮かれた気持ちも
わからなくはないです。ただ、私はそこでお茶に誘う勇気はないけどね^^;
ミステリ好きの彼の話に合わせて、実際は読んでいないにも関わらず、自分も
ミステリを読むと話してしまった佳菜恵は、ウメちゃんに助けを求めます。そこで
ウメちゃんがオススメした本は、綾辻行人さんの『十角館の殺人』、辻村深月さんの
『ツナグ』、東川篤哉さんの『謎解きはディナーのあとで』の三冊。確かに、
初心者には良さそうな三冊かも。ここでメジャー過ぎる東野さんあたりを勧めない
ところがいいのかな、と。ミステリ好きの人と話すなら、なかなかのチョイス
なのかも。
その後、カフェでお茶をした際に、相手の男性が話題に挙げた本は、今村昌弘さんの
『屍人荘の殺人』と市川憂人さんの『ジェリーフィッシュは凍らない』。なるほど、
ミステリ好きなら読んでそうな作品群。ま、『ジェリーフィッシュ~』に関しては
個人的には挫折してるんで、なんとも言いづらいものがありますが^^;
自分だったら、ミステリ初心者の人に何をオススメするかな~、といろいろ考えて
しまった。読みやすくてドンデン返しがあるものだろうなぁ。こんな風に、リアル
に本の話が出来る人と巡り会えるのはすごく羨ましい。でも、私、過去に読んだ本
の話されても内容覚えてないのがほとんどだから、話が弾まないかもしれないけど
・・・おい、こら。佳菜恵が桐原さん(相手のイケメン男性)と今後どういう関係に
なっていくのか、すごーーーく気になりました。それこそ少女漫画的展開になったら
めっちゃ楽しいんだけどなw
ラストの話は、めぐりんではない本バスの行く末のことが描かれています。本バス
廃止の傾向は、現実でもあちこちにあるんじゃないのかな。うちの市でも、以前は
移動図書館やってたと思うんだけど、すでに廃止になっているみたいですし。
でも、この回のラストで描かれたように、本と人を繋ぐ本バスは、もっともっと
地域に活用されるべきなんじゃないのかな。いろんな形で。未来に繋がるラストで
明るい気持ちで読み終えられました。