ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

アミの会(仮)「11の秘密 ラスト・メッセージ」(ポプラ社)

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女性作家のみで構成されるアミの会(仮)の新作アンソロジー。今回のテーマは

『ラスト・メッセージ』。テーマがテーマなだけに、感動的な方向に持っていった

作家さんが多かったかな。力のある作家さんばかりなので、今回も読み応え

ありました。

好きだったのは、新津さんと松村さんのかな。どちらも、普段は読まない

作家さんなのだけど。機会があったら、他の作品も読んでみようかな。

 

では、各作品の感想を。

 

大崎梢『もうひとつある 鷹宮家四訓』

鷹宮家の隠されたもうひとつの家訓の文言を見た時は、時代錯誤な内容に腹が立ち

ましたが、それが付け加えられた経緯を知って、そういうことだったのか、と

溜飲が下がる思いがしました。

 

近藤史恵『孤独の谷』

その村に住む者は、みな最後は一人で死ぬ、という。一体なぜなのか。

これはラスト、ホラーなオチでぞっとさせられました。どういうからくりで

こういう事態が起きるのか、さっぱりわからなかったですが・・・。こんな

生き方はしたくないなぁ。

 

篠田真由美『扉を開けて』

お馴染み、銀猫堂シリーズ。鍵のかかった日記に書かれた、亡き母からの

メッセージとは?

母親の醜い本音が書かれた日記が娘に読まれなくて良かったです。まぁ、どんな人

にも、誰にも言えない本音を吐き出したい時があるものですよね。

 

柴田よしき『猫への遺言』

コロナにかかり、突然亡くなった夫。生前に遺した妻と猫への遺言とは?

妻への遺言に書かれた夫の秘密に関しては、知らないままでいた方が良かったのに、

と思いましたね。夫だって、まさか遺言を書いた直後に自分が死ぬなんて思って

なかったでしょうけど・・・。その秘密以外は妻への感謝や愛情がこもっていた

だけに、残念でした。猫への遺言の方は、ほっこりした気持ちになれたから余計にね。

 

永嶋恵美『キノコ煙突と港の絵』

亡くなった祖母の家を片付けていると、曾祖母に宛てたロシアからの葉書が見つ

かった。内容は、預かっているものがあるから連絡が欲しいというものだった。

預かっているものが気になった紗季は、差出人を探し出そうとするのだが。

戦時中と現代が繋がるような内容で、先日読んだYOASOBIの『大正時代』を

思い出しました。樺太で工場の絵を描いた環が戦時中を生き抜いて、幸せでいる

ことが嬉しかったです。

 

新津きよみ『十年日記』

新聞投稿から母親が失くした指輪が見つかる、というのがアナログでいいですね。

SNSだったら、たしかに悪戯で連絡する人とかなりすましとかいそうだし。

その後も書簡でのやり取りだし。真央さんの事実にはびっくり。そういうオチ

でしたか。指輪を見つけた花井さんが、指輪の受け渡しを娘に任せたのは、娘に

とって最高のファインプレーだったということで。微笑ましい一作。

 

福田和代『そのハッカーの名は』

警察が捜しているハッカーの正体は、すっかり騙されてました。しかし、田んぼを

アレに見立てるって、そんなこと可能なのかな??ハッカーとしての能力よりも、

農業の能力の方が優れているのでは・・・と思いました^^;

 

松尾由美『みきにはえりぬ』

亡くなった母親が生前に遺した葉書に書かれていた『菩提樹』の歌詞の意味とは?

歌詞の謎解きの経緯は興味深かったけど、ちょっと強引だったような。歌詞の中で、

この言葉をタイトルにした意味もよくわからなかったな。

 

松村比呂美『青い封筒』

最初は、高校生の息子が連れて来る愛想のない友だちたちの態度にイライラムカムカ

しっぱなしでした。食事を食べさせてもらって、感謝の言葉ひとつも言えないとか、

ありえないし。主人公が、なぜ図々しい息子の友達たちに夕食をたべさせるのか、

疑問でした。夫の言い分の方が正しいと思いましたが、夫は夫で腹立たしい言動

ばかりするし。嫌な話だなぁと思っていたら・・・最後にすべてひっくり返され

ました。こんなほっこりする話になるとは。いい意味で裏切られた一作。

 

光原百合『黄昏飛行 時の魔法』

潮ノ道シリーズ。FM潮ノ道のお話は、前にも読んだ覚えがあります。局長と主人公

の関係がいいですね。二人の掛け合いが楽しい。まぁ、内容的にはいまひとつ

食い足りなさを感じましたが。『私たち親友だよね』への回答に関するやり取り

には、共感出来るところが多かったです。

 

矢崎存美『たからのちず』

亡くなった祖母がつけていた家計簿から見つかった『たからのちず』。描いたのは

幼い頃の香月らしい。香月は、真相を知る為、祖母の遺した家に住んでいる伯父

の元へ行くことに。

子供にとっては、ソレがまさしくたからもののように見えたのでしょうね。

はしゃぐ孫が祖母は可愛くて仕方なかったんだろうなぁと思うと、切ない

気持ちになりました。こどもの頃に食べたり飲んだりして美味しかった記憶の

あるものって、妙に美化されて頭に残ってたりしますよね。今食べたら、そこまで

美味しいのかなって思ったりもするけど、子供にとってはものすごいご馳走だった

記憶として残る。香月にとっては、これから祖母を思い出す味になりそうですね。

 

今回は、ゲスト寄稿はなしでした。

あとがきは篠田真由美さん。しかし、相変わらずアミの会(仮)のまま

なんですねぇ。もう、ここまで来たら、(仮)ははずしてもいい気がするけどね

(苦笑)。