ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

「明日はきっと お仕事小説アンソロジー」(角川文庫)

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お仕事小説ばかりのアンソロジー。坂木さん、久保寺さん、宮木さん目当てに

借りたのだけど、なんと、その三作はすべて既読作品でした・・・^^;ま、

三作とも好きな作品だけど、内容はすっかり忘れていたので、再読でも十分

楽しめましたけれど。

未読だった新野さん、沢村さんのもそれぞれ面白かったです。どの作品も最後は

前向きに頑張ろうと思えるものだったので、こんなご時勢だからこそ、読めて

良かったです。暗い気持ちになるニュースばかりの毎日なので・・・。

悩み、迷いながらも、自分の仕事に誇りを持って邁進出来るのって、やっぱり

どんな職業でもかっこいいな、と思わされました。

では、各作品の感想を。

 

新野剛志『笑って、笑って』

『あぽやん』シリーズの一篇。ドラマ化もされた人気シリーズですね。未読ですが、

タイトルは以前から知っていて、『あぽやん』ってどういう意味なのかな~と

ずっと思ってました。あぽはエアポートから来たものなんですね。主人公の

あぽやんの先輩、今泉のキャラが良かったです。頭の中で、今泉は大泉洋にしか

思えなかった・・・実際、ドラマでは誰がやっていたのかな。というか、本来の

シリーズの主役は遠藤じゃなく今泉だったりするのかな?本編を読んでみたく

なりました。

 

沢村凛『部下の迷い』

沢村さんの現代ものって、初めて読みました。ファンタジーしか読んだことなかった

から、こういう作品も書かれるんだな~と新鮮でしたね。

労働基準監督署の監督官のお話。部下の鬱屈を見抜いて、厳しくも的確なアドバイス

をしてあげる三村が素敵でした。最低賃金と労働者の問題は、個人の職場ならどこでも

ありそうで、リアルでしたね。

 

宮木あや子校閲ガール!?』

大好きな『校閲ガール』シリーズの一篇。本郷先生初登場の時のお話かな。これは

だいたい覚えてましたね。でも、二時間の自由な時間を捻出するのに、小説を

利用するというのはちょっと現実的でないなぁと思いましたね。もっと他に

やりようがありそうな。まだ、ファッション誌に移りたくて嫌々校閲の仕事

やってた頃のお話で、懐かしかったです。

 

久保寺健彦『仕事の仕事』

ハローワークの職員を主人公にした『ハロワ!』の一篇。読んだ時、無茶な要求

してくる求職者ばかりで辟易しましたっけ。ハローワークで、入れ歯までお世話

する職員はなかなかいないんじゃないかなぁ・・・。それだけ、主人公の信は

お人好しだし、求職者に対して真摯に職を探してあげたいと思っているのだろうな、

と思いました。

 

坂木司『グッドバイからはじめよう』

『切れない糸』からの一篇。クリーニング店で働くことになった青年のお話。

和也がクリーニング店を継いだ経緯って、こんなだったんでしたっけ。

すっかり忘れてました。ブログ始めた本当に初期の頃に読んだ覚えがあって、

記事読み返してみたら、めっちゃ短かった(笑)。大好きな作品なので、これを機に

また読み返したくなっちゃいました。