ほんっとうに久しぶりの恒川さん。初期の頃は大好きでめっちゃ追いかけてたの
ですが、途中から追いきれなくなって、なかなか手が出せなくなってしまいました。
世界観は相変わらず好みそうなものが多かったのですけれど・・・。
これは、タイトルとか表紙で、久しぶりに食指が動いたので、借りてみました。
うん。久々に読んだけど、恒川ワールド全開って感じの作品でした。残酷で不気味
だけど、美しい世界観。ああ、恒川さんだなぁと思いました。
ケシヨウという異形のモノが全編に出て来る、ダークファンタジー・・・かな?
ホラー要素が強いものが多かったかな。ラストの音楽のやつはまたちょっと毛色が
違ってましたが。
一作ごとに時代設定も舞台も全く違うけれど、ケシヨウという化物が出て来るところ
だけが共通しています。途中、ケシヨウという異形の存在がなぜ生まれたのか、
という原点のお話も出て来ます。ただ、それを読んでも、結局ケシヨウとは何なのか、
いまいちよくわからないままでしたけれど。
ケシヨウ以外に、蛇やら狐やら山犬やら鳥やら、毎回いろんな動物が登場します。
ちなみに、ケシヨウの見た目は猫(鯖トラ)のことが多い。でも、いろんなモノに
変身出来るらしいので、本当の姿はよくわからないけど。
作品によって雰囲気もテイストも時代設定も全く違うので、読む人それぞれに
好みの作品が分かれそう。私は、ちょっと平山(夢明)さんっぽい残虐さと
コミカルさが混じったホラーテイストの一作目『猫どろぼう猫』とか、幼い頃の
悪意が廻り廻って自分に返って来る、因果応報を描いた『十字路の蛇』、
妖精の国に囚われた子供たちが音楽を奏でさせられる『音楽の子供たち』辺りが
好みだったかな。
アマゾンや読書メーターの感想見てると、『音楽~』が良かったという意見が
多かったですね。アニメや漫画になりそうな設定だなぁと思いました(実際、
読んでる時も既存の漫画や恩田(陸)さんの『愚かな薔薇』っぽいな、とか
思いながら読んでたんで)。
中にはちょっとピンとこないものもあったりしたけど、概ね、恒川さんらしい
作品ばかりだったと思う。
ケシヨウという共通の存在がありながら、それぞれの世界観が全く違うというのも
不思議。恒川さんの頭の中はどうなっているのでしょうか。
化物たちが跋扈する、恒川ワールド満載の一冊でした。