久々飴村さん。そういえば、粘膜シリーズを多分、二作くらい読み逃しているん
ですよね・・・出版当時図書館に入ってくれなくって。今は入っているのかな??
まぁ、買ってもいいんですけどね。文庫だし。
で、最近さっぱり新刊出さないなぁと心配していたところに、本書が出たので
嬉しかったです。
堀永彩雲という芥川賞受賞作家を巡る連作短編集・・・???ジャンル分けが難しい
です。一作目の『侵徹 シンテツ』は、ラストでひっくり返されるタイプの、飴村
さんらしからぬ割合おとなしめの叙述ミステリ。あれ、飴村さんどうした?って
思っていたら、続く二作目以降、怒涛の飴村ワールドでした。千葉県鷗賀市を舞台に、
伝説の作家・堀永彩雲に魅入られた人々が人生を狂わされて行く様を描いています。
奇書『蘇る光』に込められた呪いの力とは――?
らしさを感じるエログロ要素はちらほらと入っているし、全編に散りばめられている
悍ましい狂気とか、飴村さんらしさはちょいちょい感じられるものの、どうにも
それぞれの人物関係がわかりづらく、オチもあるようでないものが多いので、
ちょっとハマり切れなかったかなぁ。久しぶりの飴村さんで期待が大きすぎたのかも。
最後まで読み終えて、一作目のオチが一番純粋に驚かされたなって感じだった。
短編としてのクオリティは一作目が一番高かった気がする。無理に堀永彩雲で
リンクさせなくても良かったような。一作進むごとに支離滅裂感が増して、最後
何が何だかって印象になっちゃって。いろんな要素が重なり合っているから、
混乱したところもあるし。って、作品のコンセプト全否定してどうするw
せっかく、これだけ世界観をリンクさせるのであれば、もう少しラストでいろんな
伏線が回収されてほしかったなぁって思いましたね。それを期待してラスト一作
読んだのですが、特に全部が繋がったって感じはなかったので。
まぁ、とはいえ、一作ごとに飴村さんらしいエグさや気持ちの悪さ(いや、褒めて
ますからw)は健在なので、それなりに世界観を愉しむことは出来ましたけどね。
基本、頭の狂った登場人物しか出て来ませんしね(苦笑)。ただ、粘膜シリーズ
ほど突き抜けたものを感じなかっただけで。
あちらのシリーズとはまた違ったテイストの、狂気に彩られた作品集でありました。
ファンだからこそ、もう一歩突き抜けた作品を期待してしまうのかもしれないですね
(普通の人が読んだら、十分お腹いっぱいになると思いますw)。