ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

織守きょうや「学園の魔王様と村人Aの事件簿」(角川書店)

最近人気の織守きょうやさんの学園ミステリー。話題になっている『花束は毒』

が人気で読めそうにもないので、予約の少なそうなこちらから手をつけてみました。

予約本が立て込んでいる時だったのだけど、一話読んでみたら面白かったので、

全部読み通してしまった。途中からだいぶツッコミ所満載だった気もしますが^^;

何より、学園の魔王様こと御崎くんと、村人Aこと陰キャな主人公・山岸くん、

二人のキャラと関係が、個人的にとてもツボに入りました。

平凡で陰キャな高校生・山岸巧は、ある日、学園で噂の生徒・御崎秀一に落とした本を

拾ってもらう。御崎は容姿端麗で頭脳明晰だが、ヤクザの孫だの不良を叩きのめした

だのと、不穏な噂も絶えない問題の生徒だった為、意外に思った巧だったが、その

数日後、巧は彼のもっと意外な姿を目にする。御崎は、雨が降る中、柱と壁

の間に挟まった猫を救おうと格闘していたのだ。その場に行きあった巧は、猫救出

で泥だらけになった御崎を自宅に誘い、服と浴室を貸してあげることに。御崎の

意外な姿に驚く巧だったが、その後帰って来た母親から打ち明けられた困り事を

鮮やかに解決してしまう推理力に更に驚くことに――。

一話目の、巧の母親のトイレ問題を解決したお話が一番面白かったかなぁ。っていう

か、二話目以降、アポ電強盗の半グレの話を引っ張りすぎ。四話しか入ってない

のに、うち三話それ関連の事件って。せめて前半の二作は単独で読めるような

お話にして、後半二作でアポ電のお話だったらバランス取れてたと思うのですが。

なんか、同じ関連のお話が続いて、途中から飽きて来てしまったところがあって。

せっかく学園ミステリーなんだから、もう少し軽めの事件を挟んでも良かったのでは。

魔王様と村人Aが少しづつ仲良くなって行く経緯はほっこりしましたけどね。

とにかく、御崎くんのキャラクターが気に入りました。少女漫画のヒーローのようだ。

若干BLっぽい雰囲気がないでもないけど。織守さんって、そっち系の作品も

書いてる方なのかな?もともとラノベっぽい作品書かれてるってイメージあるし。

ラストで明かされる、御崎くんの巧に対する打ち明け話にもニヤニヤしちゃいました。

カワユス。

しかし、ラストで明かされる巧の秘密にはビックリ。え、そっちだったのー!!?

って感じ。なるほど、御崎くんに対する伏線はそこに繋がっていたのか、と

目からウロコの気分でした。一話目で巧の父親の存在が全く出て来なかったので、

母子家庭なのかな?とか思ってたんですけどね。アホだな^^;

ミステリ的には若干不満がないわけじゃないけど、キャラクターが気に入ったので、

続編読みたいなぁ。ラノベ風に軽く読めて楽しかったです。