ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

燃え殻・二村ヒトシ「深夜、生命線をそっと足す」(マガジンハウス)

燃え殻さんのエッセイが好きなので、予約してありました。二村さんはAV監督で

作家さんもされている方だそうで、この二人による人気の配信番組『夜のまたたび』

の書籍化だそうです。二村さんはかなり個性的な考え方の方なので、噛み合って

いるようないないような、二人の独特な空気感みたいなものがあって、深夜に聴く

にはいいだろうな~と思いましたね。二村さんの職業柄、結構下ネタも多いですし。

ただ、燃え殻さんの方はそっち方面は淡泊な方だと思うので、そこも微妙に

噛み合ってないところが面白かった(笑)。性格も正反対って感じ。二村さんは

欲望のままに生きる外向きなタイプな感じがするけど、燃え殻さんは基本的に

自分に全く自信がなく、どこまでも内向きなタイプ。そりゃ噛み合わないです

よね(苦笑)。でも、お互いにリスペクトしあっているのは伝わって来たので、

二人の会話を読んでいるのは楽しかったです。

二村さんの方がひとまわり近く年上なので、専ら会話の主導権は二村さんが握る方

が多かったように思います。どちらかというと、燃え殻さんの方が受け身というか。

性格もそうだしね。燃え殻さんは、ダメダメな自分を顧みてしまうと、どんどん

深く沈んで行ってしまうような性格なので、いい意味でおおらかで適当な二村さん

と会話することで、少し沈んだ自分を浮上させることが出来るんじゃないかなぁ。

落ち込んでいる燃え殻さんに『君はすてきだから大丈夫』って謎の根拠で断言して

くれる温かさがあって。下ネタも多いですけどね(笑)。

タイトルのように、死にたくなってしまう自分の生命線を、少しだけ足してくれる

ような存在というか。いいコンビだな、と思いましたね。

AV監督やってるだけあって、そっち方面のいろんな経験談なんかも興味深かったな。

それを淡々と聴き流す燃え殻さん(笑)。どこまでも枯れている(笑)。

性格的には私は燃え殻さんタイプなので、全体的に燃え殻さんの方に感情移入しがち

だったかな。二村さんみたいなポジティブシンキングな人がうらやましい・・・。

文章だと細かいニュアンスが伝わりにくいので、実際のラジオを聴いてみたくなり

ました。とはいえ、もう番組は終了してしまったみたいなので、聴く機会は永遠に

なさそうですが(残念)。まぁ、番組のアーカイブは残ってるみたいですけど。

燃え殻さんの生命線を足してくれていた二村さんとの時間がなくなって、燃え殻

さんは今はどうされているのかな。どこまでもマイナス思考の燃え殻さん、また

死にたくなったりしていないだろうか(心配)。

二人のラジオのアーカイブでも聴いて、まだまだ生きていて頂きたいと思う。