ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

野村美月「ものがたり洋菓子店 月と私 ふたつの奇跡」(ポプラ文庫)

シリーズ第二弾。腕の良いパティシエールなのに、気が弱く自分に自信がない糖花

と、彼女が作るお菓子の「ものがたり」を語って、お客にその魅力を伝える

ストーリーテラーの語部によって繁盛している洋菓子店『月と私』には、様々な

思惑を抱えたお客が訪れる。出ていった恋人から月を集めたクッキー缶を受け

取った設計事務所を営む男、糖花の絶品トルシュ・オー・マロンを『世界で

二番目に美味しい』と言う金髪のパティシエ見習い、麦の想い人・爽馬のストーカー

摂食障害を抱える少女。糖花のスイーツと、語部の優しい語りで、頑なだった

お客の心を癒やす、心温まるスイーツ小説です。

前作の内容大分忘れちゃってたんですが、読んでるうちになんとなく思い出して

行きました。そういえば、ヒロインの糖花とストーリーテラーの語部、どっちも

面倒くさい性格だった覚えが。お互いに惹かれ合ってるのに、絶対にどっちも

気持ちを伝えようとしない頑ななところは、似た者同士って感じするなぁ^^;

とはいえ、そんな二人にも、終盤でついに転機が!と思いきや、気持ちを伝え

あった後でとんでもない事態に。えぇ。なんでそうなるの・・・。まぁ、なんか、

語部さんの反応には嫌な予感がしていたのだけども。まぁ、そういう行動になった

のにも、理由があったとわかって、少し溜飲が下がったところはあったのですが。

それにしても、ここまで逆方向にこじれるとは思わなかったので、本当に面倒な

二人だな、と呆れましたね。最終的には、いい方向に向いそうなので、ほっと

しましたけども。

元ソムリエの絢辻さんのキャラは渋くてカッコよかったですねー。ラストでまさか

の事実が判明して、びっくりしました。冒頭の方に出て来た伏線がこんな形で

回収されるとは。でも、幸せな形で解決したので、ほっこりしました。最後に

語部さんも戻って来てくれたしね。

パティシエ見習いとして雇われた郁人君のキャラも可愛らしくてお気に入りです。

お兄ちゃんラブな感じもほっこりしましたし。今後は、麦と爽馬の恋に割って

入りそうな感じかな?

その麦ちゃんの恋の行方も楽しみになってきました。令二は相変わらず糖花命って

感じだけど、本当の恋愛対象は麦の方なんじゃないのか?と思わなくもない(本人は

無自覚だろうけど)。とはいえ、麦は爽馬のことしか見てないみたいだから、

どっちみち叶いそうにないですが(どっちが相手でも対象外扱いという^^;)。

そして、糖花のスイーツは今回も、どれもが見た目も味もパーフェクト!って感じ

でした。いろんな月を象ったスイーツ、私も食べてみたい~。