ブログ友達のわぐまさんに教えて頂いた作品。結構話題になっているようで、
教えて頂いてすぐに予約していたのだけど、かなり待たされましたね。一本木
さんの作品を読むのは、デビュー作の鮎哲賞作品『だから殺せなかった』以来
二作目。でも、全然内容覚えてなくて^^;自分の記事読み返してみると、
かなり微妙な評価なんですよ。とにかく、文章がダメだったみたいで、そうなると
どれだけミステリ的に出来が良くても、自分の中で全体的な評価が下がっちゃう
んですよね。だから多分、印象に残ってなかったんだろうなぁと思うのですが。
で、本書です。最初に引っかかったのは、やっぱり文章でした。読みにくい。
そして、なんか古臭い。全体的な表現とか人物の思考とかが。読んでいて、何度も、
これって時代設定いつなんだろう?と思いました。AIの発展状況を考えると近未来
でもおかしくないのに、人物の考え方がなんか旧時代的な人ばっかり出て来る
んだもの。女性への言動とかも。今こんなこと言ったら大炎上するよ?ってことを
男性が普通に言ってるし。女性の助教に結婚がどうとか言いだすし。AIの軍事使用
を推奨する人間ばかりが出て来るし。今の世の中、そんなやつがそんなにいる訳
ないじゃん、と会話文は違和感しかなかったです。あと、AIとかロボットの蘊蓄も
読むのキツかった~・・・。
なんせ文系なもので、物理とか化学とかもうさっぱり興味がないもので・・・。
特殊用語も結構出て来るので、そういう説明部分が全然頭に入って来なくって。
いやー、苦戦しました。大して分厚い本じゃないんですが、これの前に読んでた
京極さんの十倍くらいしんどかったかも(ページ数的には1/4もないのに^^;)。
何度も心が折れかけたんですけどね。確か、最後で驚かされるような内容だった
筈だし、わぐまさんにせっかく教えていただいたし!と、なんとかかんとか先に
進めて行きました。
はい、では、以下はネタバレ気味感想となります。
未読の方はご注意くださいましね。
ほぉ~。そういうことだったのかーー!
と思いましたね。文章に違和感あったのも、登場人物たちの言動が変だったのも、
ちゃーんと理由がありました。これは気付けなかった私の敗北です。ハイ。
いや、なんかおかしい気はしてたんですけどね(負け惜しみw)。
この反転はお見事、と言うしかなかったですね。白旗でございます・・・。
・・・とはいえ。実は、この仕掛けが明らかになってからの方が、より
この作品に対する嫌悪感は強くなったかもしれない。
『AIに心は宿るのか』というのがこの作品の一番のテーマでキモの部分な訳ですが。
このAIロボットを作った二人の研究者は、まずAIに心を宿らせることを目的に
作っている訳ですよね。そして、事実、ちゃんと心は宿ったように思えた訳で。
それなのに、自分たちの都合でロボットの息の根を止めるだの、その事実を本人
に明かしてどんな反応するか確かめようだの、やってること残酷過ぎませんか。
結局、作ってる本人たちが一番ロボットに心なんて宿る訳ないと思ってるとしか
思えなかった。しかも、その行動をすべて全世界に配信するとか。ロボットなんだ
から、プライベートなんてなくてもいい、見世物にしてみんなを楽しませよう
みたいな考え方が、すごく不快でしたね。AIに心が宿るのであれば、AIにだって
プライベートを守る権利が出て来るんじゃないのかな。行動だけじゃなく、考え
てる心の中まで全部全世界に配信されちゃって、AIのくせに、みたいに笑われて
しまっていることに、なんだかすごく、いたたまれない気持ちになりました。
いやまぁ、ロボットなんですけどね。でも、内面描写とか、人間と変わらない
んですもん。
動物園の動物だって見世物には違いないけど、心の中までは見通せないもの。
もちろん、AIの発展の為の実験だったことはわかるのだけどね。
最後にホームレスによって明らかになった、ある事実にも胸が痛みました。でも、
こんなものをホームレスにあげても、換金しに行ったところで、盗品だと見做されて
門前払いくらうだけのような気がするけど。ていうか、むしろ通報されて捕まる
のでは。彼は良いことをしてあげたつもりなんだろうし、ホームレス側も
感謝はしてたけどさ。こんなものあげるくらいなら、持ってる現金あげた方が
良かったとは思うけどね。まぁ、そこの判断が出来ないところは、まだまだ
AIの思考能力が人間と同等まで到達していないってことなのかもしれないですが。
まぁ、話題になるのも頷けるお話ではありましたね。
好きか嫌いかって言われると、好きな話ではないですが(わぐまさんごめん)。
あとやっぱり、文章は苦手だった^^;
『AIに心は宿るのか?』という命題を、最後に作者がどう描いているのか。
今後のAIロボットの発展を示唆するような作品なのは間違いない。
なかなか興味深いお話でしたね。
紹介してくださったわぐまさん、ありがとうございました。