執筆陣が豪華なので予約してみたアンソロジー。しかし、ちょっと前に読んだ
アンソロジー『ミステリなスイーツ』で痛い目を見ていたくせに、今回も蓋を
開けてみたら、ほとんど既読の作品ばかりでした^^;
七作品のうち、多分未読は二作・・・だと思うんだけど、最後の栗本さんのは、
もしかしたら読んでた可能性もなくはない・・・けど、多分未読。伊集院シリーズ
は初期の頃は追いかけてたけど、中期以降は全然読まなくなっちゃってたから
・・・この作品がいつ頃のものかはよくわかんないけども。まぁ、どっちにしろ、
内容は全く覚えてなかったので、未読に入れていいでしょう。
ま、既読の作品にしても、覚えてないのが大部分だったから、改めて読めて良かった
ですけどね。好きなシリーズの作品ばかりだったし。懐かしい作品もありましたしね。
なかなか読み応えのあるアンソロジーでした。
では、一応各作品の感想を。
城平京『岩永琴子は高校生だった』
初出は『虚構推理 スリーピング・マーダー』。これは唯一はっきり未読だと
わかる作品。これ、お仲間さんが絶賛してたから、ずっと気になってた作品
なんですよね。城平さん久しぶりに読んだな。岩永琴子さん、かなり強烈なキャラ
クターですねぇ。ビジュアルといい、性格といい。気になります。これを機に、
ちゃんと一作まるまる読んでみたくなりました。彼女の生い立ちが気になって
仕方ありません・・・。
友井羊『カトルカールが見つからない』
まさか、また『スイーツレシピで謎解きを』の作品を読むことになるとは。よっぽど
ミステリアンソロジー選者に気に入られているシリーズなのかしらん。カトル
カールがアレと同じなのは、スイーツ作りする人ならピンと来る人が多そう。私も
一度作ったことあります。トメさんが捜しているゆうちゃんの正体には、既読の
はずなのに、また驚いてしまった^^;吃音症の菓奈が、一生懸命対話相手に言い
たいことを伝えようとする時は、はらはらするけど応援したくなる。いい子。
『初恋ソムリエ』からの一編。久しぶりにチカ&ハルタコンビのコント(←違)
読めて嬉しかったです。お互いにライバル視してるくせに、いざとなったら
いいコンビになるんだから、面白い二人だなぁと思いますね。しかし、この
シリーズの続き、どうなってるの?めちゃくちゃ新作待ってるんですけど!普門館
どうなったんだよぉ~~~書いてくれよ~~~~(懇願)。
米澤穂信『ない本』
『本と鍵の季節』からの一編。まだ記憶に新しいはずなのに、大部分忘れてる私
って一体・・・。でも、主役二人(堀川&松倉)が、図書委員として、きちんと
「図書館の自由に関する宣言」のルールを守ろうとする姿勢に感動したのはすごく
覚えてる。利用者の個人情報を他人に明かさないとかね。だから、それを破って
利用情報教えろって無理を通そうとする長谷川先輩にはイラッとしました。
有栖川有栖『瑠璃荘事件』
『江神二郎の洞察』より。これ大好きなお話なんですよね~。アリスと江神さんの
出会いの場面が描かれたとても貴重な作品だから。アリスにとって、まだ得体の
知れない先輩って印象だった江神さんが、鋭い推理を開帳して名探偵っぷりを発揮
するところが良き良き。そして、ラストの、仲間を信じる江神さんの優しさにも感動。
金城一紀『永遠の円環』
『対話篇』より。できれば『映画篇』から選んでほしかったけど、どちらも素晴らしい
短編集なのは間違いないので、再読出来て良かった。ガンに冒され死に瀕する病床
の主人公の元に、Kという大学時代の知り合いの男が現れる話。Kの正体にはぞっと
しました。不思議な読み心地で、伊坂さんあたりが書きそうなお話だなぁ。映画に
なりそうなお話でもあるし。金城さんの作品大好きなんだけど、ずっと新作出て
ないですよね。今なにしてらっしゃるんだろう。テレビのシナリオとか書いたり
してるのかな?また新作出してくれないかなぁ・・・。読みたいよー。
栗本薫『伊集院大介の青春』
『伊集院大介の私生活』より。伊集院大介シリーズは、まさに私の青春だった。
懐かしくて涙出て来そうだった。文章が翻訳もののようで、久しぶりに読んだ
けど、やっぱり時代を感じさせられたな。なにせ、作中の舞台設定も伊集院
さんの学生時代の回顧譚的なお話で、大学の学生運動とかが出て来るんだから。
黒い袖と緑の手の真相には唸らされました。もう新作が読めないと思うと淋しく
なりますね。まぁ、未読もたくさん残っているけどね。