ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

今野敏「任侠梵鐘」(中央公論新社)

大好きな任侠シリーズ第7弾。阿岐本組の今回のターゲットは、お寺と神社。

テキヤ筋の大御所・多嘉原から、神社の祭からテキヤが露店を出せなくなったと

嘆かれ、義理人情に厚い阿岐本はいつもの悪癖を作動させ、代貸の日村に現地を

見て現状を報告するように命じた。該当の神社で話を聞いた帰り、日村はその

近くのお寺でも除夜の鐘がうるさいと周辺住民から苦情が来て困っていることを

知る。鐘を鳴らすことはご先祖の供養をすること。それに苦情を言う周辺住民

たちの態度に住職は怒り心頭。日村たちはこの問題にどう立ち向かう!?

今回はお寺と神社。わが町にもとても大きな神社があるので、神社のテキヤ露店

問題には興味津々でした。まぁ、住民の気持ちもわからなくはないですけど・・・。

怪しい筋の人間がやってる出店には、正直抵抗感ありますもんね・・・とはいえ、

誰がそういう系なのかとかは見た目からはわからないので(わかる人にはわかるの

でしょうが)、お祭りの時に気にしたことはなかったですけど。でも、そういう

人たちが仕切ってお祭りが成立してきたことも事実なので。まぁ、今回の場合は、

裏で煽動した人間がいた理由で、またちょっと事情が違うのですけども。

相変わらず、阿岐本組長の気まぐれに振り回される日村さんが気の毒でした。なんか、

心配性が更に重度になっているような・・・。今回は、ガチの抗争に発展しそうに

なったのだから、当然といえば当然なのですが・・・どうなる阿岐本組!?と

心配になりましたが、阿岐本組長の謎の交友関係の広さが、いい方に作用してほっと

しました。ご都合主義的展開なのは間違いないですが、まぁ、このシリーズは

そこがいいところなので・・・(笑)。しかし、組長、どんだけ顔が広いんだ^^;

しかもめちゃくちゃ大物と兄弟盃交わしたりしてるし(そして、そんな重大事を

本人はけろっと忘れているというね^^;)。恐るべし、阿岐本組長。組長の

言動は、いろんな覚悟が詰まっていて、貫禄あるし、ほんとかっこいいですね。

ちょいちょい、地元の高校生の早苗ちゃんが再登場するのが嬉しい。しかも、

今回は祖父で喫茶店のマスターも一緒に登場。このマスターもなかなか渋くて

いいキャラクターですね。何度か淹れたてコーヒー持って登場するので、何かの

伏線なのかな?と思ったのですが、特に何もなかったのでちょっと拍子抜けでした

けど^^;早苗ちゃんがまっすぐ育っているのは、この祖父の影響も大きいのでは

ないかな、と思いましたね。相変わらず、日村さんからは毎回「こんなところに

来るな。早く帰れ」と諭されてましたけど。なんだかんだで、日村さんも可愛がって

るような気がするけどね。

甘糟さんとのお約束のやり取りも楽しかったです。甘糟さんも上司があんなだから、

いろいろ苦労してそうだなぁと気の毒になりましたけど(笑)。

今回も安定の面白さでした。マンネリだとかご都合主義だとか批判はありそうですが、

それがこのシリーズの良さだと思うので。まだまだ続いて欲しいですね。