
シリーズ第六弾。靖子先生が作る季節の野菜を活かした料理で評判の菜の花食堂
に勤める優希は、付き合い始めた川島さんと玉川上水沿いを散歩していた。すると、
いつもは空き家の建物から、何人もの人が出入りしているのを目撃する。気になった
二人がそちらへ行ってみると、川島さんのアパートの大家の保田さんがグレープ
フルーツのような柑橘系の果物を売っていた。毎年この時期になると、高知の
いろんな農家で作っている文旦を取り寄せて売る、文旦フェスを開催しているのだと
いう。以前は靖子先生もフェスに参加していたというが、優希はそんなことを聞いた
ことがなかった。保田さんの様子から、何か事情がありそうなのだが――。
ちょうど、この作品を読む直前に、親戚の家に遊びに行っておみやげに文旦を
もらったところだったので、えらいタイムリーでびっくりしました。文旦はもちろん
食べたことがありましたし、スーパーで売っているのを見かけることもありますが、
なかなかにお高いので自分で買ったことはありませんでした。苦みが抜けた
グレープフルーツって感じで、食べやすくて美味しいですね。もっと気軽に手に
入るといいのですけど。最近は、果物はすっかり高級品ですからねぇ・・・。
しかし、靖子先生が過去に料理研究家として本を出していたことを教えてもらえ
なかったからといって、もやもやする優希の態度に、こちらの方がもやもやしま
した。人間、誰しも隠したい過去のひとつやふたつあるでしょう。特に、靖子
先生は華やかな世界にいたからといって、それを自慢したりマウント取ったり
するような人じゃないのは優希が一番わかっていることな筈なのに。少し仲良く
なったから、何でも話してもらえると思う方が私には傲慢な考えに思えるけどね。
二話目の筍の話は、普段おとなしい犬が、あるアパートの前で激しく吠えた理由
に、なんて賢いワンちゃんなの!と驚かされました。発見が早くて良かったです。
それにしても、保田さんはいい家主だなぁ。たった一人の住民の為にアパートも
取り壊さずに貸してあげ続けて。ま、住民が住み続けたいといったら、住民側の意見が
優先されるのが定石だそうですけどね。とはいえ、ちゃんと福祉の恩恵を受けられる
ことになって、次に住む場所が見つかって良かったですけどね。
三話目のゴーヤの回は、亡き母が末の娘に遺した形見の珊瑚の指輪はどこへ
消えたのか?というお話。まさかの隠し場所にびっくり。これ、靖子先生がいたから
発見出来たけど、へたすると一生見つからないままだった可能性もありますよね。
園芸に疎い人間だったら、一生気づかないのでは・・・?お母さん、もうちょっと
わかりやすい場所に隠そうよ・・・って思いました^^;
四話目は、靖子先生の家にお手伝いに通っている奏太君も参加する、野川まつりで
体調不良者が続出したのはなぜ?というお話。原因となった食べ物に混入していた
モノ、一時期実際に話題になりましたよね。こんなことをやろうとする人間の
悪意にぞっとします。一体何が目的だったんだろうか。結局、犯人は最後まで
わからずじまいだったので、この件に関しては次巻に持ち越しなのかな。
最終話は、靖子先生がコロナに罹ってしまい、優希と香奈さんでなんとか食堂を
回して行こうと奮闘するお話。まだまだ、コロナはなくなったわけではないと
改めて痛感させられる回だった。飲食に携わる人にとって、味覚嗅覚障害は
致命的ですよね・・・その後、靖子先生の舌の感覚は戻ったのだろうか。なんだか、
中途半端なままで終わってしまったから、もやもやしました。今回、次の巻まで
持ち越しが多かったなぁ。
でも、その分、優希の成長が見られたのは嬉しかったですけどね。あと、靖子先生が
あの人物と再会出来て良かったです(彼の正体は早々に気がつきました)。
どうか、靖子先生の味覚が戻りますように。