ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

太田忠司「レッドクラブ・マーダーミステリー」(星海社FICTIONS)

本当に久しぶりの太田さん。内容紹介読んだら、がっちがちの本格ミステリ

っぽかったので、興味を惹かれて借りてみました。太田さんっていえば、あまり

そういう本格の印象はないのだけども。狩野俊介君シリーズとか、『ミステリな

ふたり』の夫婦ミステリーとか、あとは何といっても甘栗君シリーズとかの、

青春系とかほんわかミステリーの方のイメージが強い。とはいえ、いろんな

タイプの作品書かれる方だから、私が読んでないほかのシリーズはもっとミステリ

ミステリしてるのかもですが。

さて、本書。読み初めて、いきなり舞台が海外で、当然ながら登場人物は外国人。

うわ、そっち系なのかぁと若干の苦手意識発動。大丈夫かな、と思いながら

恐る恐る読み進めて行きました。舞台はインド洋に浮かぶ、オーストラリア領の

ココス諸島の孤島のひとつ、赤蟹島。もともとアメリカ人の資産家がこの島を

買い取って赤蟹島と名付け、バカンスで利用する為、島の西端に屋敷を建てたのだが、

その後何らかの理由で手放した。幾人かの手に渡った後、現在はアンドリュー・

タッカーが所有している。ミステリー好きのタッカーは、この島に世界中の名探偵

を集めるのが長年の夢だった。そして、この度ついに、様々なタイプの名探偵が

世界中から集められ、日頃の活躍を労う晩餐会が開かれることになった。晩餐会

は恙無く行われただ、翌朝、名探偵たちが直面したのは、恐ろしく「古典的な」

殺人事件だった――。

あらすじ書き出しただけでも、かなり古典的な本格テイスト満載のクローズド

サークルミステリーであることがわかりますね。戦々恐々と読み始めたものの、

文章が読みやすいのでさくさく読み進められました。それは良かったのですが・・・

うーん、うーん。なんというか、本格ミステリーだとしたら、すごく中途半端な

印象が否めなかった・・・。いろいろと、ツッコミ所が満載というか。いや、

そこが伏線の一つだとも云えるんですけど。違和感がいっぱいあるんですよね。

二重三重に仕掛けが施されていて凝った構成になってはいるんですけど・・・それも、

ほとんどが既視感ある仕掛けというか。ああ、こっちだったか、みたいな感じで、

あんまり感心するところまでは行かなかったというのが正直なところ。二番煎じ感が

半端ないっていうかね。この手法じゃ、もうそこらのミステリ好きは驚けないよな~

って感じ。この星海社のレーベルって、どれを読んでも同じような感想になっている

ような。この間の乙一さんのも微妙な感想になっちゃったし。あの乙一さんなのに!

なんか、わざと、こういう感じに書いて欲しいと言われているんじゃないかと変に

邪推したくなるんですよねぇ。古典を意識して書いて欲しいという要望なんだろう

けど。後半からはキャラクターも全く違う状態で登場することになるんですけどね

(ネタバレしちゃうので、これ以上書きようがない^^;)。そこで明らかになる

真相がまた、うーん・・・微妙って印象で。特に動機ね。途中からまさか、そういう

理由じゃないよな・・・と想像していたのがそのままだったという。そんな理由で

人殺しちゃうの?ってツッコミたくなりました。これが動機だったら、世の中に

殺される人山程いるよね。特に今の世の中はね。最後、犯人を追い詰める為に

容疑者の家にやって来た刑事が、喉が乾いたからって言って容疑者からお水を

もらって、ガブガブ(しかも何度も)飲むものだから、めっちゃツッコミたく

なりました。人を殺したかもしれない人間からもらったものを平気で口にするとは。

毒とか盛られるかも、とか思わないのかな?と危機管理のなさに愕然としました

(結果、毒は盛られてなかったけどさ)。

あと、結局封筒に入ってた大金って一体何だったんだろ。最後有耶無耶のまま

だったような。

赤い蟹が締め切ってる館にいきなり次々入り込んで来たり(どうやって?)、

透明マントの透明人間が出て来たり(まぁ、これに関しては現代の科学技術によって

~という説明があるにはあるが)、ほんとツッコミ要素満載だったな。

もう、どんなに好きな作家の作品でも、このレーベルから出されるものには手を

つけるのやめようかな・・・^^;