
猫がいることによって、いろんなことがうまくいくという、猫好きさん向けの
アンソロジー。私は、どちらかというと犬派ではあるのですが、もちろん猫ちゃん
も可愛いと思います(個人的に、庭に野良猫に◯ンされるのだけは許せないと
思っちゃいますが・・・^^;)。猫系YouTubeで大好きなチャンネルもあります
しね(ずっと見ていられる)。猫ってツンデレってイメージがあるけど、結構
人に懐くし、しゃべるし、賢いんだなって思ったりもします。
今回出て来る猫ちゃんは、みんな賢い子ばかりで、読んでると、ほんとに猫さえ
いれば何でもうまくいくんじゃないか、と思わされました(笑)。若竹さんの
だけはちょっとミステリ色が強くて異色な感じがしたけど(でもそこがいい)、
それ以外はほっこり出来る作品ばかりで癒やされました。
では、各作品の感想を。
荻原浩『猫は長靴を履かない』
叔父さんから遺産として譲り受けたスコティッシュフォールドのわびすけ。CM
プランナーの僕は、憧れのCMディレクターの真壁さんと共に、芸達者なわびすけ
をYouTubeで公開することにしたのだが――。
猫系YouTubeでバズったり、炎上したりするところは、某有名猫系YouTube
チャンネルを彷彿とさせましたね。自然な姿を公開するならいいけど、変に
作り込み過ぎてるチャンネルは私も苦手です。
石田祥『ツレ猫婚』
35歳で結婚に焦り始めた七緒の前に、お見合い話が舞い込んで来た。相手は
39歳の会計士でなかなかの優良案件。かと思いきや、相手はこちらが引くほど
の猫好きで――。
猫好き同士でうまくいくかと思いきや。好きの程度が違いすぎると、やっぱり
しんどいところもあるでしょうね。でも、最終的にはうまく行きそうで良かった。
清水晴木『いちたすいち』
会社で孤立する成美の唯一の癒やしは、眠れない深夜のコインランドリーで出会う
黒猫だけ――。
黒猫の過去には腹が立ちました。成美の会社の人間たちにも。ひとりといっぴきが、
静かな夜を通して、少しづつ距離を詰めて行くところが良かったです。
初めましての作家さんだったけど、文章が素敵だったな。
標野凪『猫のヒゲ』
娘から頼まれて、老猫を保護することになった葛。自分と同じ年のシマ子は、
おっとりのんびりした性格で、おりこうさんだ。シマ子との穏やかな日々が続く
中、ある日葛はシマ子のヒゲが抜け落ちているのを見つけた。そのヒゲを見て、
葛は自分の記憶も少しづつ抜け落ちていることに気づく――。
これはなんだか切ない話だった。シマ子のヒゲと、自分の記憶を結びつけて、
自分の今の状況に気づく葛の悲しさが伝わって来て。自分の母のことも思い出して、
やりきれない気持ちになりました。
若竹七海『神様のウインク』
上ヶ丘団地の悪名高い四十二号棟、別名ジゴク棟。そこには猫がたむろしていて、
その猫たちにエサをばら撒く猫ばあさんがいた。その猫ばあさんの家でちょっと
した悪さをしようと目論んだオレのことを、神様は見逃さなかった――。
悪いことをしようとするから、こういう羽目になるという典型。でも、猫がいたから、
若竹さんにしては救いのある結末なのかな。こういう趣旨の作品じゃなかったら、
多分救われない結末だったと思う(苦笑)。
山本幸久『御後安全靴株式会社社史・猫飼いの項』
総務部の大立は、会社の五十五周年を記念した社史の編纂を任された。我が御後
安全靴株式会社には、代々の猫社員がいて、それぞれに特筆すべきエピソードが
あった。この歴代猫を特集したページを設けようということになったのだが――。
歴代の猫たちがいる会社、いいですね。しかも、その時代その時代で、猫たちが
会社や社員たちの危機を救って、会社が大きくなって行ったという。猫神様って
感じだなぁ。社史編纂の物語といえば、三浦しをんさんが書かれていたのを
思い出すけど、猫エピソード満載の社史ってのも面白そうだと思いました。