ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

近藤史恵「風待荘へようこそ」(角川書店)

近藤さんの新刊。夫から突然離婚を言い渡されて、愛する娘とも別れて、ひとり

京都のゲストハウスで働くことになった眞夏。娘のことを思うとくじけそうに

なるけれど、ゲストハウスの仲間たちや外国からやってくる客たちとの交流に

よって、少しづつ自分の居場所を見つけ、心が癒やされて行く――。

近藤さんの作品は読みやすいから、あっという間に読み終えてしまった。離婚して

傷ついて一人になった主人公が、コロナ禍が終わって、外国人観光客で賑わう京都

でのゲストハウスでの仕事を通して、自分を見つめ直していく再生の物語。

夫の離婚理由にも腹が立ちましたけど、そんな夫の方について行った娘にも

腹が立ちました。なんで、不倫した方についていくの?って。母親との仲が悪い

のかと思いきや、そうじゃなさそうだし。母親のラインとかにもそっけないし。

眞夏が可哀想で仕方なかったです。眞夏の側にも問題あるのかな?とは思いました

けど、眞夏の追想を読む限りでは、それもなさそうで。娘の言動にはちょっと

共感しかねるものがありました。一応、終盤、なぜ夫側について行ったのか、

その理由が明らかにはなるのだけど。なんか、自分のことしか考えてないなぁと

それを知ってもあまり好意は持てなかったですね。まぁ、年齢も年齢だから、

将来のことを思ってっていうのはわかるんだけど。不倫されて一人になる母親

のことは全く考えなかったのかな、と思うと、ちょっとね。不倫相手で現在の

義理の母とは仲良しみたいだけど。それも、なんかなーって。いい人みたい

ではあったけど、やってることは不倫略奪婚だったわけで。なんで、そんな女と

仲良く出来るのかも理解できなかったな。夫の言動にもイライラムカムカする

ばかりだったし。娘が母親に会いに京都に行きたいっていうのを断固拒否する

とか、なんでアンタにそんな権利があるの!?って思いました。逆ならわかる

けどさ。身勝手過ぎてドン引き。眞夏は、こんな男と別れて正解だったと思う。

もっと慰謝料ふんだくってやればよかったと思ったなぁ。

眞夏の家族とは逆に、風待荘の人々はみんな、素敵な人ばかりだった。オーナーの

芹さんももちろん、ピンク色の髪をした劇団員の波由は屈託のない明るい性格だし、

アイスランド出身の留学生のふうちゃんも、東京と二重生活をしている大学の先生の

浅香さんも穏やかな性格だし。もちろん、海外からやってくるゲストハウスの

お客さんたちもみんな気の良い人ばかり。もちろん、仲には困った客もいるんだ

ろうけどね。

ゲストハウスのお客さんとの週末の交流会は、楽しそうだったな。眞夏も、得意の

料理を生かして大活躍だったしね。こういう時、料理が得意って得だなぁと思い

ました。

眞夏の料理も、交流会のケータリングのお料理も、京都のいろんなお店のお料理も、

どれもが美味しそうだった。近藤さんは、やっぱりお料理の描写が上手いよね。

終盤、娘のことで困って京都にやってきた夫をやり込める眞夏の言葉が痛快だった。

多分、結婚当時はこんな態度絶対取れなかったんだと思う。眞夏が何かを反論

しようものなら、すぐに不機嫌になったみたいだから。完全にモラハラ夫だった

んだろうな。風待荘の仕事を通して、少し強くなった眞夏が頼もしかった。

芹さんの眞夏への申し出にはびっくり。そりゃ、簡単に受けれる問題じゃないわ、

と思いましたね。芹さんの身体のことは心配だったけど、なんとか回復してくれる

ことを願うばかりです。眞夏は、この仕事に向いてそうだから、これからも

バリバリやっていけそう。そのうち、英語も完璧に習得しそうだ。

真夏の京都も、真冬の京都も過ごしにくそうだなぁと思いましたね^^;やっぱり、

京都は春か秋がいいのかな~と思うけど、今はどちらも激混みだろうなぁ・・・。

久しぶりに京都の街を歩いてみたくなりました。