
物語の最後でひっくり返されるドンデン返し系ばかりを集めた短編集。この手の
ひっくり返される系、大好きなんですよ。というわけで、興味を引かれて借りて
みました。前に読んだ時も、水木さんのこの系統のやつは面白かったからね。
今回も、最後におぉ!と思えるものばかりで、なかなか完成度が高い短編集
だったと思いますね。中でも、四話目の『家族になろう』は一番驚かされたかな。
こういう展開だとは全く予想しなかったから。三話目の『三年二組パニック』は、
なんとなく予想出来たけどね。誰が嘘をついているのか。最後の最後まで気が
抜けない、良質のミステリ短編集だと思いました。
では、各作品の感想を。
『妻は嘘をついている』
家に帰ると、知らない男が死んでいた。警察は、窃盗犯が窃盗中に病気の発作で
死亡したと結論づけたが、私は妻が嘘をついていることを知っている――。
もう、タイトルから妻が何か怪しい、のは自明の理って感じなんですが。ラスト、
妻がこういう形で逆襲してくるとは・・・(絶句)。この先が気になるって感じ
ですが、まぁ、大方の予想通りになるでしょうね。人生詰んだって感じでしょうか。
『まだ間にあうならば』
人気ロックバンドのMVに出演した美南。しかし、そこからSNSでの攻撃が始まった。
かつて推しバンド仲間だった風香が関係しているのではと疑う美南だったが。
推しのバンドを巡るファン心理をついた作品でしょうか。主人公のバイト先の店長
は気持ち悪いだけだったな。思い込みが激しい人間のやることは怖い。ラスト、
主人公は間に合ったんだろうか。郵便にこういう機能があるとは知らなかったです。
『三年二組パニック』
卒業式で誰かが誰かに仕返しをするという噂が流れている。担任の穂高は、噂の
人物を特定し、なんとか食い止めようとするのだが。
まぁ、なんとなく、仕返しの相手はこの人だろうな、というのは想像出来ました。
出て来ない人物も多分伏線なんだろうなーとも。最後はいい気味と思っちゃい
ましたね。こういうやつ、いるよね。本性隠して、表面はいい人だけど、裏では
・・・って人。大嫌いです。
『家族になろう』
他界した義母は、妻の花凜と折り合いが悪かった。その為、義母の一人暮らしの
自宅の整理を花凜の代わりにすることに。すると、「花凜へ」と書かれた封筒
を発見した。中には、若い頃の義父から義母に宛てた手紙が複数入っていた。
その手紙には驚くべき真相が隠されていた――。
義父の手紙の横柄さには辟易しました。途中までは義母に同情してたけど・・・
最後に明らかになる事実に唖然。いや、こんな偶然ある!?これから地獄だよね。
子供も出来るのに・・・どうすんのこれ。義母の最大の悪意に怖気が走りました。
『あの日、キャンプ場で』
千鶴の遺体がキャンプ場の川で見つかった。あの日、私たちは彼女を置き去りに
した。彼女は本当に足をすべらせただけだったのか――?
身勝手な行動をしたからといって、仲間を置き去りにするのはなぁ・・・。なんか、
出て来る登場人物みんな、身勝手なやつばかりで辟易した。ラストもとことん救い
がない。陥れた人物に、なんとか一矢報いることができればいいけど・・・
できれば、助かって犯罪が明るみに出て欲しいですけどね。