ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

下村敦史「口外禁止」(実業之日本社)

冴えない大学生、金崎恵介の元に、ある日届いた一通のメール。そこには、

『あなたの人生、プロデュースします』との文言が。プロデュース通りに行動

すれば、人生うまくいくという。始めは単なる迷惑メールだと気にもしなかった

恵介だったが、何度か送られて来るメールに書かれた未来予知の的中率の高さに

驚き、半信半疑ながら、ついに連絡を取ることに。ロペと名乗る相手から指示される

通りに行動すると、恵介の人生は驚くほど好転し始め、次第に恵介はロペのことを

信用し始める。しかし、ある日恵介はとんでもないトラブルに巻き込まれる羽目に

なってしまい――。

『あなたの人生、プロデュースします』なんて、どこからどう見ても怪しいとしか

思えないメールを信じて、自分をプロデュースしてもらうことになる主人公。絶対

何か罠があるだろう、とはらはらしながら読み進めてました。途中から不穏な事態

の連続で、ああ、やっぱりね、って感じではありましたね。嫌な予感しかしない

ので、先を読むのが怖いなぁと思いつつ、それでも先が気になって読む手が止まり

ませんでした。自分をプロデュースしてくれるロペと、新たに出来た友達、どちら

を信じるのか迫られるシーンは、緊迫感あってドキドキしましたね。どっちも

同じくらい怪しいんだもの。

終盤の展開は、予想通りなところと、そうじゃないところと、両方ありました。

ワールドカップの試合予想が当たった理由も、しっかりフォローしてあったので、

溜飲が下がりましたね。なるほど、そういうからくりだったのか。世の中に蔓延る

迷惑メールの一通を信じたばかりに、恵介はとんでもない事態に陥ることになる

わけですが、全部が悪いことばかりではなかったと思う。少なくとも、他人と

コミュニケーションを取る練習にはなったと思うし。かけがえのない友達も出来た

と思いますしね。いい勉強したと思うしかないんじゃないでしょうかね。まぁ、

犯罪に巻き込まれるのは勘弁でしょうけど・・・。

ロペの正体には全然気が付かなかったな。そんな伏線すっかり忘れてましたよ^^;

穂香と奈良岡との共通点も。奈良岡は、最初から怪しいとしか思わなかったので、

なんでこんな奴の正義に恵介は付き合うのか、理解出来なかった。案の定あんな

トラブルに巻き込まれたし。私だったら、他人の家に不法侵入する言われたって

時点で、絶対断固拒否するけどなぁ・・・と、恵介の流されやすい性格がもどかし

くてならなかった。まぁ、そこにはいろいろとからくりがあったわけですが。

ダイヤモンドを盗んでしまった時点で、一体最後どう収拾つけるんだろうと、

恵介の未来には不安しかなかったです。最後はうまく行き過ぎな気もしましたが、

収まるべきところに収まってほっとしたのも事実。

ま、いくら人生うまくいかなくたって、美味しい話にほいほい乗るのはダメだよ

ってことですね。

赤坂アカ先生の漫画『恋愛代行』をちょっと思い出しましたね。あれは本当に

純粋に、恋愛がうまく行かない人を恋愛成就させるようプロデュースする話

でしたけどね。