
湊さん最新作。中学三年の夏、両親を交通事故で亡くした美佐は、高校を卒業する
までの三年間、山間の人口三千人ほどの町に住む叔母の弥生の家で過ごした。それから
三十年が経ち、二十年前に美佐が結婚して以来、弥生とはなかなか会う機会がなく、
疎遠になっていた。ある日役場から連絡があり、弥生に認知症状が出て、自宅が
ゴミ屋敷になっていると告げられる。夫や嫁ぎ先の義母には苦い顔をされたが、
強行突破して懐かしい故郷を訪れると、叔母の家は言葉通りゴミ屋敷となり、
かつてはあんなに美しく整えられ、みどり屋敷と呼ばれた家の面影は何もなくなって
いた。様々な手続きを経て、弥生は介護施設に入居することができ、そのタイミングで
美佐は叔母の家の片付けを始めた。片付けを進めて行く中、美佐は当時の恋人から
借りた本を発見する。彼は、上下巻の本を下巻だけ読んで満足する変わったクセが
あった。思い立って、ダメ元で借りた本を返しに元恋人の実家に行ってみると、
そこでとんでもない場面を目撃してしまい――。
話があっちこっちいろんなところに飛んで行くので、一体この話の行き着く先は
どこなんだろう、と首をかしげながら読んでいました。いろんな要素が渾然と
混ざり合っていて、全く先が読めなかったです。始めは認知症の叔母の介護の
話なのかと思いきや、叔母はあっさり介護施設に入居出来ることになって、そこ
からゴミ屋敷の片付けが始まり、高校時代の恋人から借りた本が見つかって、
彼の実家に行ったら彼の嫁姑の恐ろしい場面に行き合って。なぜかその嫁と
親しくなって、介護トークに花咲かせたり。元彼との不倫を匂わせたかと思ったら、
片付けの最中に金庫が見つかって鍵開け屋に解錠を頼んだり。いざ解錠したら、
想像もしないものが出て来て、更に物語は混沌とし始めて。まぁ、すべては
弥生さんの過去に繋がってはいるんですけどね。湊さんだからリーダビリティは
あるし、面白いは面白かったんだけど、なんかいろいろ詰め込み過ぎて、とっ散ら
かってる印象は否めなかったなぁ。
介護ミステリにするなら、もっとそこを突き詰めるべきだったような気もする。
いろんな人の介護問題が出て来るんだけど、ちょっとづつだから、なんか薄味
って感じなんですよね。弥生さんの過去に出て来た、介護家庭同士で家事を
交換する場面が出て来るんだけど、普通そんな提案されても受けないと思うけどな。
ましてや、昭和のあの時代に。ちょっとリアリティがないよなぁと思いながら
読んでましたね。出て来る女性たちの夫がみんな嫌な奴でね。介護に全く何の
理解もなく、嫁がやるのが当たり前、自分は実の母親の下の世話なんて出来ないし
やりたくもないって考えの人間ばっかりで、うんざりしました。お前の母親
だろーが!ってツッコミたくなりましたよ。昭和の時代ならまだしも、現実でも
美佐や元彼の嫁もほぼ同じような状況なんだもの。もちろん、今も昔もそんな人
ばかりじゃないとは思いますけどね。
本を上下巻の下巻だけ読む人間、私だったら全然信用できないなって思いました。
小説なんて、下巻だけ読めば十分って、その過程が大事なんだろーが!ってね。
本好きとしては、元彼の邦彦のことは一ミリも魅力的に思えなかった。本が好きな
美佐がなんで彼を好きになったのか、全く理解不能だった。美佐の夫も酷い性格
でしたけどね。男見る目なさすぎじゃない?
金庫の中に入っていたモノの真相には暗澹たる気持ちになりましたね。弥生さんは
あの過去を封印したつもりだったわけで、いくら認知症とはいえ、他人が勝手に
それを開けて封印を解いてしまったことは良かったのだろうか・・・と思ったの
だけど、最後に出て来た弥生さんの日記の言葉で、いろいろ溜飲が下がりました。
ラスト、美佐の介護問題のオチにはずっこけました。正直、私も騙されてる方に
一票って感じだなぁ。年齢差エグすぎだし。せめて相手が五~六十代とかなら
あり得るかもしれないけどさ。しかも姑のあの性格の悪さで。ナイでしょ。
タイトルは『G線上のアリア』から来てるんだろうけど、なんでそれにもじって
つけられてるのかはよくわからなかった。もしかしたら、村上春樹の『ノルウェイの
森』に出て来るとか?(作中で美佐の元彼が上下巻の下巻しか読まなかった本がコレ)
読んでないんで・・・にしても、Cはどこから?私の理解力がないせいでしょうか。
どなたか、読まれた方いたら教えて欲しいです・・・。ネタバレサイト探すかな。