
はじめましての作家さんかな(多分)。もしかしたら、アンソロジーとかで短編
くらいは読んだことがあるかもしれませんが・・・(覚えてはいない^^;)。
完全にタイトル借りです。温泉大好きなんですもん。温泉にまつわるほっこり話が
読めるのかな~と期待して借りてみました。
・・・うーん、でも、ちょっと期待してたのとは違っていたかなぁ・・・。いや、
温泉は毎回出て来るんですけど、思ったほど温泉がメインではないというか。
温泉旅に行くこと自体がメインのお話も多かったような。そして、思った程には
ほっこりしたお話でもなかったという^^;なんか、オチがないようなお話も
あったし、ちょっと食い足りなかったって印象かなぁ。
作者の方は温泉ソムリエマスターの資格を持っているのだそう。だったら、もっと
温泉自体に特化したお話でも良かった気はするんだけどね。いや、ストーリー
重視にするのが悪いって言ってるわけじゃないんだけどさ。タイトルが『そのもの』
過ぎるから、温泉好きの人は期待しちゃうと思うんですよね。どっちかというと、
温泉は完全につけたしみたいな、刺し身のツマみたいな扱いだったんでね。
どっちかというと、『温泉旅行に行く自分』の小説っていうのかな~。説明ムズい。
それで十分って人もたくさんいるとは思いますけどね。朝比奈さんの小説自体が
好きな人は全然それで楽しめると思いますし。いろんな温泉地が舞台になってるのは
間違いないので。旅の種類も、ひとり旅なのは基本ですが、バス旅行だったり、
車だったり、電車だったり、飛行機だったりと、行き方もバラエティに富んで
ますしね。温泉っていうより、旅に出たくなる小説かも(『旅(行)小説』とかのが
良かったような?^^;)。旅行エンタメ小説としてはそれなりに楽しめたかな。
では、各作品の感想を。
『女友達の作り方』
ひとり参加限定の日帰りバスツアーに参加する女性の話。日帰りツアーで温泉に
入るって、結構時間的にハードじゃないかなぁ。私は結構長湯タイプなので、
制限時間1時間半って結構キツイな、と思いましたね。髪の毛乾かしたり肌の
手入れ(+お化粧?)するだけでも30分取られるしさ。せっかくの温泉なのに
な~と思いました。大人になってから女友だち作るのは確かに大変だよなぁと
思いましたね。私は人見知りなので、表面上で付き合うことは出来るけど、こういう
場で友だち作ろうとは思わないかな・・・。
『また会う日まで』
後期高齢者になり、娘や妹から免許返納をせかされる老人の話。まだまだ運転
出来ると思う主人公の気持ちもわかるけど、やっぱり娘の心配もよくわかるな、
と思いましたね。女性たちに一矢報いるつもりで、一人で車を運転して、亡き妻
との思い出の温泉に出かけることに。しかし、目的地に近づくにつれて、雪が
激しくなり――という、運転する側としてはなかなかの恐怖に襲われる展開に。
いくらタイヤを履き替えていたとしても、雪の時に運転なんて絶対やめた方が
いいですね。雪国育ちならいいかもですけどね。案の定な結末だったような^^;
『おやつはいつだって』
父の十七回忌を期に、父が眠る北海道に行こうと思い立つ女性の話。母親との関係も、
中高の友だちとの関係も、何かモヤモヤが残る終わり方だったなぁ。友だちが、
本当に主人公に対して悪意があったのかもよくわからなかったし。何かしらの含みは
ありそうな感じではありましたけど。母親との関係は共依存っぽかったですね。
主人公は母離れ出来てないし、母親は子離れ出来てないし。なんか不思議な母娘
関係だなって思いました。主人公に対して学生時代にいじめをしていた女性に、
母親が仕掛けた悪意にぞっとしましたね。トラピストクッキー、私も北海道旅行
した時に買って来たな。
『わたくしたちの境目は』
妻が亡くなって一年、息子夫婦が妻が好きだった温泉に行く旅行の計画を立てて
くれた。しかし、当日、息子が突然仕事で遅れることになり、嫁と子供と三人で
電車に乗ることに――。
ここに出て来る銀猿温泉って、本当にあるところなのかな~。これぞ秘湯!みたいな
感じでしたね。混浴ってのはちょっと・・・って感じですけど。昔の温泉って
みんなこんな感じだったんだろうなぁ。じいじと孫のしりとりリレーにほのぼの
しました。
『五十年と一日』
五十を過ぎて、体に肉がつき始めた照美の為を思って、娘が予約したのは断食
合宿旅行だった――。
3日間の断食!私だったら絶対無理だー・・・。でも、照美のように、だんだん
慣れて来るものなんですかね。でも、こうやって強制的に身体をリセットさせる
のは健康に良いのかも。断食合宿に温泉がついてるのはいいな~と思いましたね。
『島と奇跡』
結婚直前まで行っていた女性と別れ傷心の博光は、会社に島への異動を願い出て
受け入れられた。移住のためのヒアリングにやって来た博光は、この島にかつての
親友と訪れた時のことを思い出していた――。
親友と訪れた時に宿までトラックに乗せて行ってくれた工藤さんのキャラがいい
ですね。再会出来て良かったし、工藤さんの現在の職業に、かつての親友が関わって
いたことがわかったことも嬉しかったです。また、三人での交流が始まると良いな、
と思いました。別れた彼女の言動は怪しさ満載だった。絶対騙されてるでしょ、と
思ったから、別れられて良かったよ(詐欺とかではなかったみたいだけどさ)。