
宮島さん最新作。成瀬シリーズとはまた違った読み心地の青春小説でしたね。
県立菅原高校の入学式の日、牧原栞は教室で同じクラスの平尾安以加に話しかけ
られ、一緒に平安部に入らないかと誘われる。安以加は、平安時代が好きで、
平安時代のことを学ぶ部活をこの学校で新しく作りたいのだという。栞は、正直に
言って平安時代など全く興味がなかったのだが、安以加の熱意に負けて、一緒に
平安部立ち上げに協力することに。部活昇格には5人部員を集めなければいけないと
知り、二人はスカウトできそうな人材を探し始める。あと三人、部昇格の為の
人材を見つけることが出来るのか――。
いやぁ、楽しかったですね。平安部って何だよ、と始めは戸惑いましたが、一人
づつ部員が集まって行って、毎週月曜の部活の日に部員たちが集まって、平安時代
のことを少しづつ深堀りしていく過程にワクワクしました。みんなで平等院の
雲中供養菩薩像が描かれたトランプで神経衰弱やったり、歴史博物館に行って
みたり、蹴鞠の大会目指したり。最初は平安部って一体何の部活するんだろう、と
思ってましたけど、平安時代の娯楽がいろいろ出て来て、それを現代の高校生たち
が楽しそうに体験している姿が新鮮でしたね。私の平安時代のイメージというと、
なんか高貴な人たち(天上人)が優雅な暮らしをしてる雅な世界って感じ。つまり、
宮中のイメージしかないってことなんですけど。歴史とか日本史とかの教科書だと、
朝廷の人たちくらいしか出て来ないからなぁ。あとはやっぱり光源氏の世界かな
(やっぱり宮中^^;)。蹴鞠なんかも、宮中の娯楽ってイメージあるけど、市井の
人たちもやっていたのかなぁ。今まで、そんなこと考えたこともなかったけど、
安以加の平安好きについつい感化されてしまった。いろんな平安時代要素が出て来て、
少し平安時代が身近に感じられたように思いました。
文化祭で平安時代をテーマパークにした『平安パーク』を実現する為に、部員
みんながアイデアを出し合って協力し合うところも青春って感じで良かったですね。
面白いこと考えるなぁと思いました。この平安パークのアトラクション(?)の
ひとつが蹴鞠体験コーナーだった訳なのですが、これをきっかけに、部員5人で
練習し合って、蹴鞠の大会に出るところまで(しかもその結果がまたすごい)
行っちゃうところも胸熱でした。
部員たちもそれぞれに個性があってキャラが立ってましたね。平安フリークの
安以加はもちろん、絶世の美男子でモテ男の光吉幸太郎、二年生で元百人一首部
の幽霊部員の明石すみれ、中学時代はサッカー部で、高校からは楽な部活に
入りたいという理由だけで入部した割に、意外と平安部の活動に積極的な大日向
大貴。主人公の栞は、のっぺりとした顔立ちで、特に特筆すべき特技などもない
自分のことを他の部員と比べて卑下していたけれど、あの安以加の平安熱について
いけるってだけで、十分奇特な性格だと思いましたね。顔は赤染衛門似だそうな
(誰だよw)。安以加を、中学時代のいじめっ子からそれとなく庇ってあげた
シーンにはぐっと来ましたしね。スクールカーストが何だ!栞ちゃん、いい子。
書道の師範である安以加のおじいちゃんのキャラも好きだったなぁ。渋くてね。
あと、個人的には大日向くんがお気に入りでした。楽な部活に入りたくて、なりゆき
で平安部に入ったけど、なんだかんだできちんと部活に真面目に取り組んでくれて、
きっちり戦力になってるし、基本真面目でいい人なんだろうな~と思いましたね。
蹴鞠大会に関しては、さすがに上手く行き過ぎだろうと思わなくもなかったけど、
それがあったから高校内で平安部の名が知られることにもなった訳なので。弱小
平安部が、少しづつみんなに認められて行くところが嬉しかったです。
この作品を通して、ほんの少し、平安の心がわかった気になりました(笑)。
あないみじ、な作品なのでした。