ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

青柳碧人「赤ずきん、イソップ童話で死体と出会う。」(双葉社)

赤ずきんシリーズ第四弾。今回は、イソップ童話『うさぎとかめ』『オオカミ少年

『アリとキリギリス』『北風と太陽』が取り上げられています。今回も、元ネタの

小道具がうまいことミステリ要素にハメられていて、面白かったですね。

『うさぎとかめ』ってイソップ童話だったんですね。普通に日本の童話だと思って

いたかも。

前作のアラビアンナイト編で事件を解決した直後から始まります。指輪の魔人を

呼び出して家に帰してもらおうとした赤ずきんでしたが、現れた指輪の魔人の

背に乗って帰ろうとしたところ、突如指輪の魔人がお腹が痛いと言って指輪

へ戻ってしまい、空中落下。運よく木に引っかかったものの、そこに居合わせた

リスに指輪を奪われてしまう。リスを探して北へ向かおうとした赤ずきんは、

立派なぶどうの木の下で、ぶどうの実を取ろうとジャンプを繰り返す狐のライラス

に出会う。赤ずきんの機転でめでたくぶどうを取ることが出来たが、赤ずきん

にとっては酸っぱくて食べられたものではなかった。お腹が空いて仕方がない

赤ずきんは、ぶどうの木のすぐ近くに、イチゴらしき実が成っているのを発見し、

手に取ろうとすると、それはフクロウイチゴと言うもので、昼間に食べると

眠くなり、夜に食べると目が冴えてしまうのだという。その説明を聞いていると、

どこからいびきが聞こえて来た。ライラスによると、いびきの主はうさぎの

チュバスで、今、のろま亀のタトロスと競争中なのだという。町の住民たちは、

彼らのレースで賭けをしていた。そんな中、ネコのリンコーの夫・カシュボスが

何者かに殺されているのが発見された。赤ずきんは、事件解決に乗り出すのだが

――(『うさぎとかめは移動する』)。

犯人の身体の特性を生かしたトリックが面白かったですね。童話だと善人側

なのに、このシリーズにかかると殺人の犯人にされちゃうんだからね。まぁ、

そこが面白いところでもありますけどね。きつねのライラスとはいい友達になれた

と思っていたので、ラストはショックだったな。

二作目の『信用できないアリの穴』は、五姉妹の末っ子エプシィが話した最初の

推理が、まんま島田(荘司)さんのあの有名作品のトリックで笑ってしまいました。

オマージュ作品?^^;

アリの巣のような五姉妹の住居の特性を生かしたトリックには、なるほど、と

思わされました。でもこれ、普通の人は推理するのは無理なような・・・最初の

方に出て来た見取り図は信用出来ない訳だしね。

三作目のオオカミ少年ゲーム』は、タイトルにもあるオオカミ少年ゲームを

理解するのがちょっと大変だった。独自に編み出されたカードゲームで、発想は

青崎有吾さんの『地雷グリコ』に出て来そうな感じで面白かったけどね。最後、

敵側だったロリヒと仲良くなっちゃうところが良かったですね。ゲームで儲かった

お金で、赤ずきんたちにたらふく美味しいものを食べさせてくれたりね。

最後の『北風と太陽』は、不実を犯した者をどんどん凍らせてみんなに怖れられ

ているイソップとの対決が描かれます。イソップと対峙する赤ずきんがかっこ

良かったですね。

終章では、作中に仕掛けられた、ある事実が判明して、驚かされました。これは

見抜けないよなぁ。ちょっと混乱したところもあったけど。ハンドスパイスの

件は騙されたな~。しかし、面白い形のスパイスだなぁ。見た目がエグくて、

一見食べ物に思えなさそうだけどね^^;

しかし、赤ずきんは無事あのあと家に帰れたのだろうか・・・多分、また途中で

トラブルに見舞われて、殺人事件の推理をすることになるんだろうな(苦笑)。

今回も面白かったです。