ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

又吉直樹・ヨシタケシンスケ「本でした」(ポプラ社)

又吉さんとヨシタケさんのコラボ作品、第二弾。

バラバラになってしまった本でも、破れてしまった本でも、タイトルや本文一行

しかわからなくても、本であればどんなものでも特殊技術によって復元するという、

ある村に住む二人の男の元には、村人たちからひっきりなしに本の修復依頼が

持ち込まれる。

村人たちが投函する『本の復元依頼シート』をもとに、二人の男はどんどん依頼の

本を復元していくのだが。

面白い試みでしたね。二人に持ち込まれる『本の復元依頼シート』は、以前に

読んだ『生協の白石さん』の『ひとことカード』みたいだな、と思いました

(生徒たちから生協の白石さんに向けて『ひとことカード』に書かれた言葉に、

白石さんが答える、というもの)。

いろんな人によって書き込まれた『本の復元依頼シート』を元に、おふたりが

それぞれに元の物語を想像し、復元する、という形。

ほんの少しのヒントから、元の物語を想像して作り出す。お二人、それぞれに

それぞれの個性が出ていて面白かったです。こんな一文から、こんな物語が!

っていう驚きがありましたね。

とても読みやすいので、童話みたいにさらさら読めてしまいます。本の体裁も、

古い児童書みたいな感じ。本文ページも古紙のような印刷になっているので、

ほんとに古い本を読んでいるような気分になります。装丁がとても凝っている

な~と感心しました。

ヨシタケさんのとぼけたテイストのイラストもとっても可愛らしい。本当に

バリエーション豊かな依頼内容なので、読んでいて飽きなかったですね(まぁ、

一作が短いので、記憶に残るかというと・・・すみませんって感じですが^^;)。

又吉さん担当の、最後の「主人公が『本が好き』」という依頼の作品は、一番

本文が長く、読み応えがありました。本が好きで一人で本を読んでばかりいる

せいで、からかわれたり白い目で見られてたりする少年のお話。私も、教室で

一人で本読んでることとか多かったから、身に覚えあるなぁと思いました。まぁ、

それでいじめられるとかハブられるとかはなかったけど。本が好きでいじめられる

なんて、私にしてみればなんで!?って感じだけど、きっと子供たちの中では、

異分子扱いになっちゃうんだろうな。亡くなったお父さんの、主人公が読むべき

本のリストに、胸を打たれました。主人公の成長、もっともっと見守りたかった

だろうな、と思うと胸が詰まりました。主人公には、本が好きであることをずっと

誇りに思って欲しいですね。

最後のオチは、またちょっと胸が切なくなるものだったけど、この村の人々が

みんな、本が好きだということが伝わって、温かい気持ちになりましたね。村を

去ったふたりの男たちは、きっと他の村で修行して、また面白い物語を紡いで

いるんだろうな、と思わされました。