ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

森バジル「探偵小石は恋しない」(小学館)

はじめましての作家さん。図書館の新刊情報でタイトルと内容見て面白そうだなー

と思って、なんとなく予約してありました。そしたら、巷で結構話題になってる

みたいですね。『王様のブランチ』でも取り上げられたらしいですしね。

作者の名前、何か記憶にあるなーと思ってたんですが、一つ前の『なんで死体が

スタジオに!?』という作品も、タイトル見て読もうかどうしようか悩んだ

作品だったんですよね。なんでだったか、結局その時はスルーしちゃって、

未だに読めてないんですけどもね。

語り手は、小石探偵事務所の相談員・蓮杖。事務所の代表で探偵の小石は、

ミステリオタクで魅力的な謎が絡む事件を解決したいと望んでいるが、なぜか

依頼は不倫や浮気などの色恋調査ばかり。依頼を受けても乗り気にならず、蓮杖に

調査を押し付けようとしてくるのが困りもの。しかし、それでも小石が色恋関係の

依頼を受けるのには、ある理由があった――小石は、なぜか他人の恋愛の矢印が

誰に向いているのかが「見える」のだ――。

 

他人に恋愛感情を持たない探偵・小石と、彼女の言動に呆れつつ、同じ事務所の

相談員として彼女をフォローする蓮杖、二人のバディもの。

面白かったですね。かなり、いろんな仕掛けが施されているので、世間の高評価も

納得って感じでしたね。

しかし、どんな感想書いてもネタバレになっちゃいそうなんですよねぇ。

というわけで、以下はネタバレあり感想です。

 

 

 

 

未読の方はご注意くださいませ。

 

 

 

 

 

そもそも、主役の二人の名前がフルネームで書かれない時点で、多分これは

何かあるな、と気づく人が多いんじゃないかな。私もその一人。

小石も蓮杖も、下の名前なのか、苗字なのか、びみょーに、どっちもイケそうな

名前だしね。普通に考えたらどっちも苗字だとは思うんだけどさ。絶対これは

何かあるな、って思いました。

小石の正体は途中で気付きましたけど、蓮杖の方までは見破れなかったなぁ。

何かありそうだな、とは思ってましたが。

しかしまぁ、小石は昔と性格変わりすぎでしょ。いくら記憶がないとはいえ。

脅迫状の犯人も意外でしたが、その動機の身勝手さには腹が立ちましたね。

小石が受けたいくつかの色恋案件が、最後に全部繋がって行くところはお見事

だと思いました。伏線の緻密な張り方には感心させられました。なんか、細かい

部分は理解しきれてない気もするんだけど(アホ^^;;)。

あと、胸にハート型の傷を残すってところは、ちょっと首を傾げてしまったな。

やる側も、やられる側も。そんなに上手くいくもの?いまいち、脳内で映像化が

出来なかったですね。

ただ、何より私がやられてしまったのは、何といってもあのラストです。もう、

私の好みそのものの展開だったので。なんとなく、こうなるといいな、とは思って

ましたけどね。最後の最後で違う意味のドンデン返しが来るとはね。これはもう、

ヤラレタ!としか言いようがなかったですね。ミステリの評価とは関係ないけど、

ミステリ部分がずさんでも、このラスト持って来られたら、褒めてしまった

かもしれない(笑)。

あと、個人的に、ミステリオタクの小石が、蓮杖にやたらとお薦めしていたのが

京極さんの『魍魎の匣』だったのが嬉しかったですね。この本に関しては、

最後で、予想外の活躍するしね。この本以外にも、ちょこちょこ既存のミステリー

作品が登場するところが楽しかったです。

 

ミステリー部分に関しては、腑に落ちない部分がなかった訳じゃないんですけど、

二重三重に仕掛けられた伏線の細やかさはお見事でした。ちょっとこれから、

注目したい作家さんの一人になりそう。前の作品も機会があったら読みたいです。

年末ランキングを賑わせる作品のひとつになるかも。