ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

道尾秀介「I」(集英社)

道尾さん最新作。『N』は読む順番でストーリーが変わって行くという衝撃作でしが、

今回は読む順番によって結末が変わるという斬新な試みの作品。

収録されているのは二作のみ。どちらを先に読むかによって、結末が変わるという

ことですね。

これ、読まれた方がどちらから読んだのか、すごく興味ありますね。どっちを

先に読むのか、みんな悩むんじゃないかなぁ。というのも、最初に収録されて

いるのは、高校生の夕歌が主人公の『ペトリコール』なのですが、これが逆さに

印刷されてるんですよ。だから、最初のページが158ページから始まってるん

ですね。二作目に収録されている休職中の医者、田釜が主人公の『ゲオスミン』は

165ページからですが、本の天地通りに読むことができる。普通なら大抵の人は

どっちから読むかの選択を迫られたとしても、一作目から読もうとするんじゃ

ないかと思うのですが、一作目が本を上下ひっくり返して真ん中らへんのページ

からじゃないと読めないというハードルがあるものだから、二作目からって選択肢を

選ぶ人も多くなりそうです。これ、すごくよく考えてるな~と思いましたね。

ちゃんと、読者が自分でどっちから読むか選ぶように誘導してる。

で、現に私は天地正常に読める二作目収録の『ゲオスミン』から読みました。

本ひっくり返すの面倒だなって思ったから、後回しでいいや、みたいな理由(笑)。

『ゲオスミン』は、娘を亡くして心を病み、休職中の医者が、漁港で元刑事の

ホームレスの男と出会い、お互いに抱える闇を打ち明けて行く話。医者の田釜

の娘はなぜ自殺をしたのか。田釜の思い込みによって、物語は悲惨なラストに

向かって行く。

もう一作の『ペトリコール』は、両親を惨殺され、天涯孤独になった高校生の

小峰夕歌が主人公。家族と共に住んでいた家の家主である律子さんが、なぜか夕歌を

引き取ると言ってくれて、律子さんの家で一緒に住んでいる。夕歌には、誰にも

打ち明けられない秘密があった――。

 

以下、若干のネタバレ含んでます。本の冒頭に、作品についてのネタバレを

ネット上で上げないようにと書かれているので、決定的なことは何も

書けないのですが・・・一応、未読の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

いや、どっちも話が重い、重い。二つの話は当然ながらリンクしていて、どちらから

読むかで結末が変わるということなのですが・・・えっと、実は今だにこの

からくりが上手く自分の中で消化出来ていなくって。二つの話の時系列が変わら

ないのであれば、結局結末って同じにならないの?自分が読んだ結末は、救いが

ある方だったのかそうじゃないのか、正直わかってない。っていうか、どっちに

しても救いのない結末としか思えないんですけど・・・読み終えて、もう頭の

中が?(ハテナ)だらけでした。多分、私が読んだ順番の方が救いがある方

なんじゃないかとは思うんですけど・・・でも、結局『ゲオスミン』の出来事も

起きているとしたら、◯◯は起きているのでは?夕歌の行動が何かを阻止したとは

思えないですし・・・って、私の読み取り不足なのか?

 

 

 

単独で読めば、どちらもかなり完成度の高いミステリーです。ただ、この本の

趣旨を鑑みると、どうにも理解出来ないモヤモヤが残ったといいますか・・・。

読んだ方にめっちゃ解説して欲しいです。多分、全然理解出来てないです、私。

あー、もう、自分の理解力のなさに凹みます・・・。ちゃんと理解出来てれば、

もっと『おお~!』ってなったと思うんだけどなぁ。はぁ。