
北山さん最新刊。回って来るのに大分時間かかっちゃいましたけど。昨年度の
本格ミステリベストで堂々の一位を獲った作品ということで、北山さんだし、
読むのを楽しみにしていました。
なるほどなるほど、これは確かに話題になるのも頷ける作品かな、と思いましたね。
ミステリ作家なら誰でも一度は書きたい(多分?w)であろう、建物消失ミステリー
ばかりを集めた作品集。いやー、よくもまぁ、これだけバラエティに富んだ建物
消失の真相が考えられるなぁと感心しきり。予想出来たものも入ってはいましたけど。
こんなの推理できるかーーー!とツッコミ入れたくなるものも(笑)。でも、どれも
それぞれに違った味わいがあって面白かった。
では、各作品の感想を。
『一九四一年のモーゼル』
1941年、ナチスによるレニングラードへの砲撃が開始された。ソヴィエト赤軍
の狙撃班で優秀な成績を収めていた若い男は、ナチスが狙うシチェルバク邸の
『硝子の間』の任務に当たるよう命じられた。高台の小屋からシチェルバク邸が
見えるよう狙撃銃のスコープを調整し、監視を続けた。しかし翌日、なぜか
スコープの中から屋敷がまるまる消え去っていた――。
図で消失のからくりを説明してくれているので、だいたいは理解出来たのですが
・・・映像とかでもう一度説明してもらいたいかも^^;いくら豪華な装飾が
施されているとはいえ、部屋ごと盗み出そうとするっていうのがなかなかすごいな、
と思いましたね。実際こういうことが行われていたんですかね。
『神の光』
幼い頃からギャンブルの才能があったジョージは、ずっとギャンブルで生計を
立てて来た。しかし、勝ち続けたが故に、酒場で有名になりすぎて、稼ぎにくく
なっていった。そこで一攫千金を夢見た彼は、ラスベガスに行くことに。そこで、
有益な裏カジノ情報を得て、裏カジノ行きのバスに忍び込み、潜入に成功する。
持ち前の勝負強さで見事に大金を手にしたジョージだったが、帰りのバスに
乗りそこね、見たこともない砂漠の道の途中で一夜を明かす羽目に。しかし、
朝が来ると、眠る前には存在していた筈のカジノの街がまるまる消失していた
――。
これは、唯一消失の理由に見当がついた作品。街まるまる消えたってことは、
そういうことなのかな~となんとなく想像がついたというか。ジョージが早死に
だったってヒントもありましたからね。
『未完成月光 Unfinished moonshine』
長らく音信不通だった親友の藤堂から会いたいと連絡を受けた私は、十数年ぶりに
藤堂家を訪れた。久しぶりに会った藤堂は、全身から酒の匂いをさせて、どこか
怯えた顔をしていた。藤堂が私に差し出したのはエドガー・アラン・ポーの
未完の直筆原稿だった。その原稿には、森の奥にあった山小屋が消失する話が
描かれていて――。
山小屋の中にあった黒黒とした液体の正体にはびっくり。こんな理由で山小屋が
消失することが本当にあるんでしょうか。これ、でも多分前にもどっかで読んだ
ことある気がするんだよな~。どこかのアンソロジーに収録されてたのかも?
『藤色の鶴』
2055年、カザリア共和国で内戦が勃発。反政府組織が主要施設を同時に攻撃
した。国境のアルタイン砦も同じように攻撃される筈だった。しかし、丘の上に
見えていた車輌や建物が、反政府組織のメンバーたちの目の前から一瞬にして
消え去った――。
千年前の日本の平安時代から連綿と受け継がれて来た伝統技術が、未来の外国の
消失劇に関わって来る、というのが面白かったです。確かに、この話読む直前に、
同じ技術についてテレビで取り上げられていたのを観たばかりだったので、
将来的にこういうことが出来るようになるだろうな、と妙に納得させられて
しまった。宇宙でも使われているくらいですからね。
『シンクロニシティ・セレナーデ』
わたしは物心ついた頃から、繰り返し白い館が目の前で消失してしまう夢を
見ていた。なぜこんな夢を見るのか、ある日何気なくSNSでことの経緯を書き込む
と、その館について心当たりがあるという人からのリプライがあった。T大の
准教授だというその人は夢の研究をしているというのだが――。
これはなかなかすごい真相でしたね。科学的な根拠はあるのでしょうけど・・・
なかなかに怖い真相でしたね。館である必要性はいまいちよくわからなかった
ですけど・・・。昔に倣ったのでしょうけど、その形にこだわる必要があったのか
どうか。
まぁ、意外性という意味では十分あるとは思うんですけどね。ラストにぞっと
しましたけど・・・いくらなんでも、このタイミングで消失するのは都合良すぎない?
^^;