ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

宮島未奈「成瀬は都を駆け抜ける」(新潮社)

成瀬シリーズ第三弾。一応これが最終巻になるようです。わーん、寂しい。宮島

さんには、いろんな作品を書いて欲しいと思いつつ、このシリーズも平行して

書き続けてもらいたかったなぁ。年を重ねてどんどん大人になって行く成瀬を

リアルタイムで追いかけてみたかった。大学卒業後はどういう道に進むのかも

気になりますし。四十代五十代の成瀬も、それはそれでいろんなドラマがありそう

ですもん。母親になった成瀬とか、めっちゃ強い母になってそう。あるいは、結婚

せずにそれこそ政界の道に進むとかもありそうだし。いきなり海外移住とか(笑)。

成瀬なら、何しても驚かないな(笑)。宮島さんには、成瀬の一生をライフワーク

にしてほしかったのにな~。まぁ、それは各読者の心の中で好きに成長させれば

いいか。きっと、いくつになっても、成瀬は成瀬のままでしょうからね。

今回は、晴れて京大生になった成瀬の生活が描かれます。東京の大学に進んだ

島崎とは当然ながら別れてしまい、新たな友人が登場します。好きな人の志望校が

京大だったというそれだけの理由で京大を志望し、合格を勝ち取った坪井さくら、

森見登美彦に憧れて作った達磨研究会になぜか入らされる羽目になってしまった

梅谷誠、簿記合格を目指すYouTubeチャンネルの配信者ぼきののか。個性豊かな

キャラクターが次々登場します。

はじめは、それぞれの性格に引っかかる面があったりもするのですが、成瀬と

付き合ううちになんだかみんな成瀬に感化されて、好感持てるキャラに変わって

行った気がしますね。成瀬って、ほんと、影響力のある子だなぁと思いますね。

破天荒な彼女の言動に付き合ってると、うじうじ小さいことで悩んでいるのが

馬鹿らしく感じてくるんでしょうね(笑)。でも、ちゃんと根底には彼女の優しさ

があるところがいいんですよね。島崎が相手だと、意外と普通の女の子に戻っちゃう

ところも好きですし(相手女子ですけどw)。

今回、特筆すべきは第5話ですよ!一作目で私がとても気に入っていた西浦君が

再登場するのです。やったー。成瀬がかるたの大会で出会った人の良い少年です。

あれから二年の歳月が流れている設定ですが、その間二人は文通をし続けて

いたのです。今どき文通!さすがかるたが好きなだけある!・・・という訳では

なくて、これは成瀬が携帯を持っていなかったせいで携帯でのやり取りが

出来なかっただけなのですけどね(苦笑)。大学生になった成瀬は親からスマホ

買ってもらっているので、LINE交換もしているのですが、なぜか文通のやり取りは

そのまま継続しているという、この奥ゆかしいところがいいじゃないですか。

やっぱり、西浦くんのキャラ最高だな~と思いました。一途に成瀬のことを想って

いるしね。ぼきののかから教えてもらった例の手話の場面のことをすっかり

忘れていて、5話のラストの動作の意味が最初わからなくて、慌てて戻って

確認しちゃいました。成瀬の返しも良かったですよね。まぁ、はっきり答えは

わからなかったですけど・・・少なくとも、希望が持てない感じじゃなかった

ですからね。これからですよね。

4話のお母さん視点も良かったですね。前作ではお父さん視点が出て来たので、

今回は母親視点で自分の娘をどう思っているのかがわかって良かったです。

やっぱり、成瀬の母親だなぁと思わされましたね。

そして、当然ながらラストは島崎視点。大学に行って新しい友達が出来て、

いろんな活動を通して交友関係が広がって行っても、やっぱり成瀬の一番の友達は

島崎なんだな、と再認識出来て嬉しかったです。それは島崎も一緒ですしね。

成瀬の200歳まで生きるに付き合えるのはもう、島崎しかいませんからね。

おばあちゃんになって、腰が曲がっても、ずっと二人は親友でいてほしいと

思いました。

これで終わりとは寂しい限りですが、またいつか気が向いたら続きを書いて欲しい

ですね。違う作品に大人になった成瀬が登場したりとかね。

楽しい三部作でした。