
初めましての作家さん。なんでこれを読もうと思ったのかというと、登録している
読書系YouTubeチャンネルの方がお薦めしていたから。ちょっとおどろおどろしい
雰囲気とか、三津田信三さんっぽい横溝系なのかな、と思って予約してみました。
で、読み終えて最終ページの作者経歴見て初めて、話題になった『世界で一番
透きとおった物語』の作者さんだったと知りました。『世界で~』はいろいろな
ところで紹介されていて、信頼しているブロ友さんも絶賛されていたので、
読みたいと思いつつ、予約がすごくて手が出せていなかった作品。そのうち
予約者が落ち着いたら予約したいと思って待ってるところです。でも、作風
は全然違いそうですけど。いろんなタイプの作品が書ける方なのかな。
本書は、想像通り、こってこての横溝風ホラーミステリーでしたね。閉鎖的な
地方の村で、未の年だけに行われる祭りの恐るべき内容が描かれます。未年に
12歳になる少女のみが巫女として駆り出され、「おひつじ様」を迎える為に様々な
試練を与えられる。そして、なぜかその村では、未年に男子は生まれない・・・
とにかく、祭りの中身を知れば知るほど、長らく村で行われて来た恐ろしい
事実が明るみになって行きます。主人公は、12年前に巫女として祭りに参加
し、直後に村を出ていた祥子という女性。祥子は、ある目的を持って未年の
お祭りが行われるこの時期に村に帰って来た。12年前に巫女として祭りに参加
した他の仲間との約束を果たす為に――。
物語は、現在と12年前が交互に描かれて行きます。12年前、巫女として
祭りに参加した6人の少女たちが何を見て、何をしたのか。そして、12年後
の再会を約束した6人が、12年後の今村に集結して、一体何をしようとして
いるのか。その辺りが物語のキモとなります。得体の知れないおひつじ様とは
一体何なのか。あり得ない姿で人々が殺されて行くのはなぜなのか。結構エグい
表現も出て来るので、グロ系が苦手な人は少し注意が必要かも。ぐいぐい引き
込まれて読み進めて行けたのだけど・・・ううむ。ラストはちょっと尻すぼみ
的な印象だったなぁ。ミステリ的な仕掛けも出てくるので、そこは良かったと
思うけども、肝心のおひつじ様の真相がねー・・・一応、正体はわかるのだけども。
え、ソレが正体?ってかなり拍子抜けだったし、ソレが正体だとしたら、なぜ
人を殺すのかも理解できないし。
以下、ネタバレ気味感想です。
未読の方はご注意ください。
あり得ない方法で人が殺される理由も、三津田さんみたいに論理的に解き明か
されるのかとちょっと期待していたのだけど、そこはホラー採用なのね・・・と。
まぁ、ホラーミステリを謳っているのだから、それはそれで納得するしかない
のでしょうけどね。
祥子の生家での扱いが酷すぎて、腹が立って仕方なかったです。彼女がことある
ごとに、自分を「空気みたいな存在」「誰の目にも止まらない」みたいに表現するのも
悲しかったのだけど・・・これも伏線の一つだったとは。何かありそうだな、
とはちょっと思っていたのだけどね。祥子を生まれてすぐに鶲沼家に預けた実の
両親も酷い人たちでしたけどね。結局、金に目が眩んだってことでしょうからね。
でも、もっと酷いのは、やっぱり12歳の未年の祭りが終わってすぐに用無し
とばかりに彼女を実の親に引き取らせた鶲沼家でしたけどね。特に伊知華の母親
の言動にはドン引きでしたね。ま、父親もヤバい奴でしたけども。いや、祖父は
もっとヤバい・・・って、伊知華以外全部クズの集まりなんですけどね^^;;
伊知華の母親の最後の行動にはただただ呆れ果てた。何ソレ。逃げるのかよ!とね。
最後まで、自分のことしか考えない人だったんだなぁと思いました。娘のことも
道具にしか思ってなかったんでしょうね。
あの中において、よく伊知華はあんなにまともに育ったよなぁ。完全に、反面教師
ってやつだったんだろうな。12年前の祭りで、伊知華がやったことは、12歳
の少女がするにはあまりにも辛いことだったと思う。鶲沼なんかに生まれなければ
・・・。でも、その宿命を受け入れながらも、次世代の為に自分を犠牲にしてまで
祭りを壊そうと動く姿は、凛としていてかっこ良かったです。12歳が背負うこと
じゃないと思うけどね・・・。
そりゃ、祥子も憧れるよね。ま、結局祥子であり、祥子でもない訳だけれどね。
概ね面白く読んだのだけど、やっぱりおひつじ様の正体がなー・・・あれなら、
何かわからないモノ、みたいなままの方がまだ良かったような。もやもやが
残るのは同じだろうけどさ。
おひつじ様を迎える為の村の因習があまりにも酷過ぎてドン引きでしたね。
未年に男の子が生まれない理由も含めて、あり得ない世界だなと暗澹たる気持ちに
なりました。