ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

東川篤哉「じゃあ、これは殺人ってことで」(光文社)

東川さん最新作。待望の烏賊川市シリーズの新作です。めっちゃ嬉しい。やっぱり、

なんだかんだいって、このシリーズが一番好きなんだよな~。デビュー作も

このシリーズだったしね。これで何作目になるのかな?新しいシリーズがいくつも

生まれる中でも、長く続けてくれて嬉しい限りです。今回も楽しかった~。

 

では、各作品の感想を。

『李下に冠を正せ』

ぶどう農園を営む道明寺秀夫の元に警察がやってきた。農園の従業員中元が

殺人事件の容疑者として連行された。中元の容疑は、河川敷で見つかった死体を

捨てたことだというのだが――。

ぶどう泥棒を殺した犯人も意外といえば意外だったのですが、その遺体を中元が

河川敷に捨てた真相も予想外の理由が隠されていました。ひたすら可哀想なのは

道明寺さんですよね・・・ぶどうも狙われ、◯も狙われ・・・^^;;

 

『深夜プラス犬』

その日、森日紗子は、回覧板を回しがてらおしゃべりする為、ご近所の男友達・

児島伸介宅を訪ねた。しかし伸介は旅行中で不在だった為、伸介邸の離れに居候

している江添という男に回覧板を託そうと離れを訪ねた。すると、部屋の中で

江添が真っ赤な血を流して倒れていた。現場を見た日紗子は気を失って倒れて

しまい――。

犯人が、アリバイ作りの為に犬を殺したことが一番許せなかったですね。身勝手も

甚だしい。倒れた日紗子が目撃した犬の正体には驚かされましたね。

 

『博士とロボットの密室』

阿佐ヶ谷ゆき子博士は、共同研究で開発した猫型ロボットのアイコを、元彼で

ある飯田博士に、別れる際に奪われた。一年が過ぎ、ゆき子博士の研究所に、

親戚のおじさんから、奇妙な荷物が送られて来た。中身は、おじさんの親戚の

秋葉原博士が作った<ロボ太>という人型ロボットだった。ゆき子は、ロボ太と

話をしているうちに、別れた飯田博士に奪われたアイコを取り戻す為、博士を

殺す計画を立てることにするのだが――。

あらすじだけでもツッコミ所満載なのですが(笑)。ロボットと殺人の計画を

立てるという衝撃の内容。ロボット原則に違反してないか?^^;実行するのは

ロボットじゃないからいいのかな。ロボ太のキャラ面白かった。密室の中から

猫を逃がした優しさが、巡り巡って犯行の証拠になってしまうという皮肉なオチが

効いてましたね。

 

『どうして今夜の彼女は魅力的に映るんだろう』

江藤広明は、一人飲みの後ほろ酔いで二軒目に行こうと歩いていると、以前

辞めたコスプレ居酒屋で働いていた榊夕菜を見かけた。ツインテールのバッチリ

メイクで、ゴスロリファッション姿だった。夕菜のことが気になった広明は、

彼女の後をつけた。すると、彼女が向かったのは暗い公演の女子トイレだった。

しかし、広明がいくら待っても夕菜は出て来ず、代わりに出て来たのは夕菜とは

体型も違い、すらっとした長身の女性だった。夕菜は忽然と消えてしまった。

すると、翌日夕菜が殺されたことを知り――。

イカ少女剣崎マイカちゃん再登場。相変わらず語尾がマイカで面白かった。

夕菜消失の理由にはびっくりした。絶対違和感覚えると思うんだけど、人間の

錯覚を利用した面白いトリックだと思いましたね。タイトルの意味もちゃんと

最後に明らかになります。広明は本能で嗅ぎ取っていたんでしょうねぇ・・・。

我らが朱美さんも登場して、ファンには嬉しい一作でしたね。

 

『じゃあ、これは殺人ってことで』

大前田典之は、烏賊川市屈指の有名企業『大前田製菓』の社長で叔父の徳次郎

を殺す計画を立てることにした。遺産目当てではなく、会社の実権を握る為だ。

典之は、某小説に出て来た竹竿を使うトリックを使って、現場を密室にし、叔父が

自殺したように見せかけることに成功した。しかし、現場を見た弟の俊之が、

徳次郎の死が自殺では困ると言い出した。徳次郎は、少し前に典之と俊之を

受取人にして一億円の保険に入っていたという。しかし、加入してから一年未満

の自殺では保険金が下りないというのだ。そこで、自殺に見せたい典之と殺人に

見せたい俊之との不毛な攻防が始まった――。

これは多分何かのアンソロジーで読んでるんじゃないかな。なんか覚えがありました。

最終的に典之の犯行を示す証拠にはあっと言わされましたね。こういうダイイング

メッセージの伝え方があるとは・・・!でも、警察がそこを調べなかったら絶対

伝わらなかったでしょうね。典之が下手な小細工しなければそこまで調べられる

こともなかっただろうにねぇ。◯◯文字とはね。それにしても、兄は権力、弟は

保険金欲しさに叔父の死を偽装しようと企む兄弟二人の浅ましさに辟易しましたね。

弟はもう少しまともな人間かと思ったらね・・・似たもの兄弟でしたね(呆)。