ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

我孫子武丸「ライフログ分析官」(光文社)

我孫子さん最新作。近未来の日本が舞台のミステリー。タイトルから全然内容が

想像出来なかったのだけど、近い未来テクノロジーが進化して、こういうシステム

が開発されるかもしれない・・・というifの世界なので、そりゃ想像出来ないよな、

と思いました(苦笑)。ライフログとは、その人が見ている映像と音声を記録

し続けるデバイスのこと。ドイラブレコーダーのように一定時間メモリー上に

上書きを続け、停止した瞬間に上書きをやめるタイプのものや、電波でクラウド

や大容量ストレージに延々と送信し続けるタイプのものなどがある。基本、個人の

意思で録画され、切り取ってSNSに上げたり出来る。事故や犯罪に巻き込まれた時は

証拠として提出されることもあった。しかし、性能が良いだけに、犯罪や様々

な悪事に利用されかねないということで、世界中で問題になり、規制がかかる

ようになった。利用者であっても、録画データの完全な自由利用はできなくなり、

事件・事故の際に警察に提出する場合は、各国の検察・警察に所属する<分析官>

がライフログ社の分析室で分析を行う必要がある。本書の主人公・高藤望は、

検察庁の検察事務官という肩書で、依頼されたライフログの分析を行う仕事を

している。そんな中、検察との連絡役兼ボディガードとして、警視庁捜査一課の

榊原栄輔刑事が望の元に派遣されてきた。望は、榊原と共に、殺人事件解明の為、

ライフログ分析に挑むのだが。

ライフログという近い将来実現化しそうなデバイスの設定は、まぁ、面白いと

思ったものの、とにかく、その説明がいちいち長いし、専門用語の羅列も頭

ちんぷんかんぷんだしで、なんか読んでいてすごく疲れてしまった。しかも、

ミステリー的な解決は二の次で、メインがそのライフログについてって感じの

内容なので、一話ごとのオチも弱くて、読み終えてモヤモヤが残るばかりで。

ライフログを活用した上で、しっかりミステリ的な面白さが加味されている内容

だったら、もう少し評価出来たと思うんですが・・・。設定だけが独り歩き

しちゃってる感じ?

しかも、後半に行くにつれて、事件のスケールが大きくなって行くのだけど、

途中の少年誘拐事件の結末があまりにもショッキングで。ライフログの設定

ありきの話だったら、そこまで救いのない結末にしなくても良くない?って

思ってしまって。到底受け入れられる結末じゃなかったです・・・。しかも、

ちょうどこの話読んでる時に、実際にあの京都の小学生の行方不明事件が起きて

話題になっていたから(犯人が捕まる前です)、余計に読んでて辛かった。

最終話のラストも、なんかあっけない終わり方で、え、これで終わり?って感じ

だったし。榊原刑事の身の上に関してだけは良かったですけど。

あと、男か女かわからないキャラが二人も出て来たのも、なんか設定被ってる

なぁって思いました。そこは一人でも良かったのでは?望は結局、どっちなんだい。

ジェンダーレスの意識がもっと進んでいる世の中ってことが書きたかったのかも

しれないですけどね・・・。

うーん、なんか、設定だけが先走っちゃってる印象だったなぁ。近未来って設定

自体、個人的にあんまり好みじゃないせいかもしれないですけど。

ちょっと、自分的には残念な作品だったかな。