ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

藤崎翔「冥土レンタルサービス」(祥伝社文庫)

藤崎さんの昨年の文庫作品。実はこれ、昨年一度借りたんですが、その時定期的に

やってくる(^^;)予約本ラッシュで、他の作品優先しなきゃならず、泣く泣く

読めずに返した作品だったんですよね。で、もう一度予約し直して、やっとまた

回って来たという。一度読めずに返しちゃった作品って、なかなかもう一度

予約する気になれないんだけど、藤崎さんの作品大好きだから、今回は再予約

した次第。

相変わらず設定が面白い。連作短編形式で、主人公はみんな現世で亡くなった

ばかりの人たち。主人公たちは、死後、気がつくと道に描かれている矢印に従って

白い建物に辿り着くよう誘導される。そこは、『冥土レンタルサービス』といって、

自分が生前に積み重ねた善行によって獲得したポイントを使用することによって、

好きな生物の身体をレンタルして、少しだけ現世に戻れるサービスを提供している

場所だという。各主人公たちは、自分の持つポイントから借りられる生物を選んで、

現世に舞い戻り、会いたい人の前に現れようとするのだが――。

主人公たちはみんな亡くなっている訳ですが、コミカルに死後の世界が描かれて

いるので、全然悲壮感もないし、怖さもないです。死後にこんな世界があるなら、

死ぬのもそんなに悪くないなって思えるほどです。地獄行きは嫌だけど・・・

まぁ、さすがに善行はともかく、地獄行くほど悪いこともしてないから大丈夫

だとは思うけど・・・^^;

レンタル出来る生物をポイントで選ぶっていうのがまた面白いですね。自分だったら、

いくつくらいのポイントになっているのかなぁ。選択肢が虫しかなかったらちょっと

嫌だ・・・。犬・猫を選べるほどのポイントがなくても、鳥を選べるくらいには

貯まっていて欲しい・・・。

山登りが好きだった30歳の男がヤモリを選ぶ回が個人的には結構ツボにハマり

ました。ヤモリ大好きなんですよ。今我が家の外の物置と壁の間にも棲み着いて

くれている子がいましてね。毎朝、今日はいるかな、と隙間を覗くのが日課に

なってます(たまに私の視線に驚いてピロピロ逃げて行ったり←酷w)。大抵

いてくれるんですが、何日間か姿が見えないと、めっちゃ寂しいです。帰って来て

~って心の中で叫んでます(笑)。

その三十路男が、ヤモリになってやりたかったことに笑ってしまった。高所恐怖症

の私としては、絶対にやりたくないことですけどね^^;;

それぞれの作品の主人公たちの関係性は、かなり緻密に練られた設定になってます。

人物相関図欲しくなりましたね~。時系列とかも整理しないと、ちゃんと把握

しきれないかも(私は、しきれてない・・・)。

さすが藤崎さんって、仕掛けがちゃんと施されているのに感心しました。

冥土レンタルサービスの職員に関してもね。ああ、この人がこの人なのか、みたいな

驚きが隠されてます。この人とこの人がこう繋がっていて~とか。結構複雑です。

まぁ、そういうのが全部わからなくても、一話ごとに普通に楽しめます。

お梅シリーズとはまた違った面白さで楽しませてくれましたね。ほんと、こういう

発想どこから生まれて来るんだろうなぁ。お笑い芸人そのまま続けていても、

結構芽が出たんじゃない?って思っちゃうけどね。でも、小説の方でこれだけ

才能発揮してるんだから、こっちの方が天職だったとも云えるのかな。

死後の世界をここまでエンタメ化して楽しませてくれるのは藤崎さんならでは

だな、と思わされました。面白かったです。