ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

水生大海「私のせいではありません」(新潮社)

水生さん最新作(かな?多分)。美大時代に同級生だった陽向、瑠璃、未緒、乙羽。

四人展を開いた仲間だったが、美大時代に起きたある事件をきっかけに、関係が

崩れてしまった。六年後、瑠璃の結婚式の二次会で久しぶりに四人が顔を合わせる

筈だったが、二次会の開始時間が過ぎてもなかなか会が始まらない。どうやら、

披露宴が行われているホテルで事件か事故が起き、誰かが怪我をしたらしいの

だが――。

結婚式が行われる現在と、六年前の美大での事件を発端とした過去の出来事が

少しづつクロスオーバーして行き、ラストの出来事に繋がって行く構成。一話

ごとに主人公が代わりますが、ラストは一話目の陽向が再び主役を務めます。

結婚式という華やかな日が舞台だというのに、それぞれの心中は全く幸せでも

心穏やかでもないっていう。どの人物も腹に一物も二物も抱えているので、何か

辟易しましたね。基本的には、主役の瑠璃を祝福しようと思って集まって

いるのは間違いないのだけど・・・美大卒業後の進路を巡って(美術で食べて

行ける人間とそうでない人間の差が出てしまっているので)、妬みや嫉妬が

渦巻いているのが透けて見えてしまって、嫌な気持ちになるばかりでしたね。

誰かを蹴落としてまで自分が絵で仕事をもらおうとしたり。こんな友達関係

嫌だーーーと思いました^^;

それぞれのお話でちょっとづつミステリ的な仕掛けがあったりするので、ミステリ

としては楽しめましたけどね。

一話目の陽向に関しては、普通にミスリードされていたしね。なぜ一人称がそれ

なのかの説明はなかったように思うけど・・・。

瑠璃のストーカーだった鶴来の言動は、本当に気持ち悪かったなぁ。こんなのに

目つけられたら、もうどうしていいのかわからないのでは。でも、そんな瑠璃が

結婚を決めた理由にも辟易しましたけど。打算しかないじゃん・・・。瑠璃の

相手は相手で、最初は穏やかで優しい人かと思ったけど、本性知ってがっかり

したし。でも、鶴来と同じくらい嫌だったのは、鶴来の娘の叶恵でしたね。

身勝手過ぎてね。

なんかもう、出て来る人それぞれに二面性があって、イライラムカムカしっぱなし

でした。人間って、そういうものってことなんでしょうか・・・いやだーー^^;

でも、ラストの陽向の法廷での言動だけは、スカッとしたな。陽向が、セクハラ

柳教授の証人を引き受けた時はがっかりしたんだけどね。最後にちゃんと、

正義を貫いてくれてほっとしました。悪い人間ばかりじゃなかった。

瑠璃も、いろいろありましたけど、将来的な本人の幸せのためには、この結末で

良かったと思いますね。これからいくらでも本当の幸せ掴めると思いますしね。

読みやすいので、あっという間に読めちゃいましたね。水生さんらしい、

ドンデン返しミステリでした。面白かったです。