ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

下村敦史「ネタバレあり 双紋島の殺人」(光文社)

下村さん最新作。もう、タイトルからして挑戦作って感じで、期待が高まりましたね。

タイトル通り、冒頭に7つのネタバレが明記されています。このネタバレ表記に

よって、読者はいろいろと推理する上で翻弄させられるっていう。ネタバレがあるが

故に、深読みしちゃったりね。私はもともと推理とかちゃんとするタイプじゃない

ので(おい)、なんかいろいろ、素直に騙されてました(苦笑)。

冒頭に書かれている7つのネタバレは以下。

 

1.島での最初の犠牲者は名探偵

2.ミステリー作家は犯人ではない

3.登場人物の一人は偽名

4.名探偵は素性を偽っていない

5.島では四人が殺される

6.ある章は過去

7.共犯者がいる

 

内容は、ある作家が実際に嵐で外界から閉ざされた島(双紋島)で実際に体験

した連続殺人事件の体験記を、雑誌連載時から一文も変更せずに、単行本に

まとめたという体で描かれた作中作で大部分が成り立っています。この島での惨劇の

生き残りである作者は、未解決のこの事件の真相が、聡明な読者によって解明

されることを狙って、この作品を出したという。作品が世に出されると、編集部

には何通かの真相を推理した旨のメールが届くのだが――。

 

典型的な嵐の孤島でのクローズドサークルミステリーです。本格好きにはたまらない

舞台設定で、テンション上がりました(笑)。最近新人作家で似たシチュエーションの

孤島ミステリ読みましたけど、やっぱり完成度が段違いでしたね(あれは個人的には

酷すぎて読んだ記憶を失いかけていますがw)。

ただ、冒頭のネタバレ表記があるので、ほんと、翻弄されまくりました。この人

名探偵っぽいけど、ほんとに?とか(誰が名探偵なのか明記されていない)。

過去の章はここかな、とか(全然違ってましたw)。四人殺されてないじゃん、

とかね(ちゃんと殺されてます)。

作者と思われる登場人物の一人が記憶障害を持っているという設定も効いて

いましたね。

冒頭のネタバレ部分は、真相の推理を聞くと、全部なるほど、と思えました。

でも、このネタバレが7つもあるせいで、推理がすごい複雑で^^;理解するのが

ちょっと大変でした。でも、よく出来ていると思います。ちゃんとネタバレ表記は

フェアに記されていますしね。わざわざネタバレ表記が書かれた理由自体にも、

ちゃんと意味があったとわかりましたし。雑誌連載から一文も変えずに単行本に

まとめた、という冒頭の表記も結構重要だったりします。しかし、これ、読者で

完璧に推理出来た人とかいるのかなぁ。絶対無理じゃないか?^^;ラストの

真相の推理部分読んでも、全然完璧に理解出来ている気がしないです・・・。

映像とかで説明してもらた方がわかりやすいかもしれないなぁ。

はい、私がアホな読者なだけなんですけどね^^;

本格好きには評価される作品じゃないかな。ネタバレありという、ミステリには

本来あるまじき設定を組み込むという前代未聞の試みとしての面白さもありますしね。

下村さん、道尾さんとは違った角度でいろんな飛び道具出して来るから侮れない

作家さんだなぁ。次はどんな作品が生み出されるでしょうか。楽しみです。